ベース・ミュージック

ベース・ミュージックとは

ベース・ミュージックは、クラブミュージックの一ジャンルで、低音域を強調したサウンドが特徴です。そのルーツは、1980年代後半にアメリカのマイアミで生まれたマイアミ・ベースに遡ります。当初はヒップホップの一形態でしたが、その後、イギリス発祥の多様なクラブミュージックのジャンルを包括するようになりました。

歴史

マイアミ・ベースは、リズムマシン（特にローランド社のTR-808）のバスドラムの音圧を活かした、速いBPMと低音が特徴です。歌詞は比較的単純で、性的なテーマを扱うものが多く、女性の喘ぎ声のサンプルが使われることもありました。ルーク、2ライヴ・クルー、サー・ミックス・ア・ロットなどが代表的なアーティストとして知られています。

1990年代中盤には、アトランタでも流行しました。アトランタ・ベースは、マイアミ・ベースに比べてR&B色が強く、歌ものの楽曲も多く見られます。ジャーメイン・デュプリがプロデュースしたアルバムからシングルカットされたINOJの「Time after time」がヒットしました。

クラブミュージックとしての発展

2000年代に入ると、イギリスで生まれた2ステップやUKガラージから発展した、重低音でリズミカルなベース音が特徴的なジャンルが台頭しました。ドラムンベース、ダブステップ、トラップ、ベースハウス、グライムなどがその代表的なサブジャンルです。これらのジャンルを横断的にミックスするDJたちによって、ベース・ミュージックという呼称が広まりました。

2010年代には、EDMブームとともにベース・ミュージックは世界的に知られるようになりました。メインストリームのEDMに飽きた若者を中心に、その多様なサウンドが支持を集め、大型フェスでもトラップやダブステップをプレイするDJが増えました。

フューチャーベースという新たなサブジャンルも登場しています。これは、トラップにメロディアスで心地よいシンセ音を加え、キャッチーで未来的なサウンドが特徴です。日本でも、中田ヤスタカ、DEAN FUJIOKA、宇多田ヒカルなどがフューチャーベースを取り入れた楽曲を発表しています。

世界的な広がり

ベース・ミュージックは、もはやイギリス発祥の音楽ジャンルという枠を超え、世界的なムーブメントとなっています。DJスネイク（フランス出身）、Skrilex、Jauz（共にアメリカ出身）、アリソン・ワンダーランド（オーストラリア出身）など、世界中のアーティストがヒット曲をリリースし、トップチャートやヒップホップチャートにもその影響が見られます。

ベース・ミュージックは、その多様性と革新性によって、クラブミュージックシーンを牽引する重要なジャンルとなっています。

関連項目

チーチ&チョン
チーチ・マリン

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