ベーダ・ヴェネラビリス

ベーダ（Bede）

ベーダ（Bede、672年または673年 - 735年5月26日）は、イングランドの著名なキリスト教聖職者であり歴史家として知られています。彼の名は、カトリック教会や正教会をはじめ、主にキリスト教の多くの宗派で聖人として称えられています。ベーダは特に「尊敬すべきベーダ」として知られ、現代の英語表記では「Bede」となっており、「ビード」と発音されます。

生い立ちと人物

彼は北イングランドのノーサンブリア地方、ウェア河口で生まれ、人生のほとんどをタイン川沿いの町ジャローで過ごしました。彼がイングランド教会史を59歳で書き終えたと自ら述べていることから、彼の誕生年は672年または673年と考えられています。ベーダの生まれは高貴な家系であったかは定かではありませんが、彼は7歳でウェアマス修道院に入所し、17歳で輔祭に、30歳で司祭に就任しました。その後735年5月26日に亡くなり、最初は修道院に埋葬されましたが、後にダラム大聖堂に改葬されました。

ベーダは682年からジャロー修道院で、主にノーサンブリアの貴族出身のベネディクト・ビスコップからギリシャ語やラテン語を学ぶなどし、多くの伝道や文化的な活動に取り組みました。彼の名声は聖書解釈に関する業績によるもので、当時の学者たちに影響を与えました。

著作

ベーダが残した著作は多岐にわたりますが、中でも最も重要な作品は『イングランド教会史』（Historia ecclesiastica gentis Anglorum）です。この作品は、イギリス最初の通史として位置付けられており、彼はこれによってイギリスの歴史家として認知されています。この書は5巻から成り、イングランドの地理や住民、ローマの支配に関する概略から始まり、聖人たちや修道院の歴史、各王国の盛衰を詳細に描写しています。特に、聖人や教会に関する奇跡的な出来事や、当時の社会における問題も記述されています。

この書の特徴は、ヨセフスの古代ユダヤに関する歴史書やエウセビオスの教会史から影響を受けていることです。また、彼の著作は7世紀初頭から8世紀前半の信頼性のある史料と見なされ、文学的にも高く評価されています。

ベーダは自らの労力を通じて古典文学の再評価を促し、ギリシャ・ローマの文献を紹介しつつ、天文学や医学、文学といった広範な分野にわたってその知識を広めました。彼の意欲的な研究と著作活動は、弟子たちにとって知識の宝庫とされるほどの影響力を持ち、一部の歴史家にとっては「百科辞典のような存在」だったと言われています。

まとめ

ベーダは単なる宗教家や歴史家にとどまらず、彼の業績は後世にわたり多くの人々に影響を与えました。『イングランド教会史』を通じて、ベーダはイングランドの歴史的、宗教的文脈を理解するための重要な基盤を築いたのです。

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