ペコロスの母に会いに行く

『ペコロスの母に会いに行く』

概要

『ペコロスの母に会いに行く』は、岡野雄一が描くエッセイ漫画で、母との交流を描いています。作品は西日本新聞に連載された後、東京新聞でも続編が連載されています。主人公である岡野は、認知症を患った母との日々の出来事を切なく、時にユーモラスに描写し、優しい視点を提供します。作品名の「ペコロス」は「小さな玉ねぎ」の意味で、主人公の愛称として使われています。

あらすじ

物語は62歳の漫画家、ゆういち（愛称ペコロス）が89歳の母みつえの認知症の症状に向き合うところから始まります。振り込め詐欺に引っかかりそうになったり、故夫のために酒を買いに行こうとしたり、認知症の影響で日常を混乱させたりする様子が描かれます。
ゆういちはケアマネージャーの勧めで母をグループホームに入れることになりますが、意識が混乱したみつえは、面会に訪れた息子のこともすぐには思い出せません。
時折、死んだ夫と会話をし、幼い妹の幻を見ながら虚構に浸るみつえ。その中には、かつての懐かしい日々が息づいています。みつえは幼少期に10人兄弟の面倒を見ていました。弟妹たちの服を補修してあげる日常が、今では過去の輝かしい記憶として残っています。
そして、日々人間関係や記憶の断片が新たな敬愛を育み、思い出の彼方へと旅するように発展していきます。

評価

この作品は認知症をテーマにした介護体験を基にし、2012年には『ハートネットTV』で取り上げられ、その後2013年には朝日新聞の記事でも紹介されました。ベイベー関根は作品の抒情性を評価し、永江朗はそのユーモアと深い感動がありつつも介護の厳しさを浮き彫りにしていると述べています。2013年には第42回日本漫画家協会賞優秀賞も受賞しています。

テレビドラマと映画

2013年には、NHK BSプレミアムで「ペコロス、母に会いに行く」としてドキュメンタリードラマ化されました。キャストにはイッセー尾形や草村礼子が参加しています。
同年、映画化もされ、全国で公開。森崎東が監督を務め、主演に岩松了と赤木春恵が起用されました。赤木春恵はこの作品で88歳にして映画初主演ということで、特に注目を集め、ギネスにも認定されます。主題歌は一青窈が手がけ、作品の感情を一層引き立てています。

舞台

2016年には同名の舞台も上演され、藤田弓子や東国原英夫などがキャストとして名を連ねました。実際の舞台で表現される物語は、映像作品とは異なる新しい魅力を持っています。

結論

『ペコロスの母に会いに行く』は、認知症というテーマを通じて、母と息子の愛情、そして失われるものとその価値を描いた感動的な作品です。温かい人間関係と記憶にまつわる物語が、読者に新たな視点を提供しています。

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