ペトルーシュカからの3楽章

ペトルーシュカからの3楽章

『ペトルーシュカからの3楽章』（仏: Trois Mouvements de Pétrouchka）は、イーゴリ・ストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽『ペトルーシュカ』を基に、作曲者自身が編曲したピアノ独奏曲です。演奏時間はおよそ15分。

概要

この作品は、アルトゥール・ルービンシュタインの依頼により1921年に編曲され、彼に献呈されました。原曲の魅力を凝縮しつつ、ピアノという楽器の可能性を追求した意欲作と言えるでしょう。

構成は以下の3楽章からなります。

1. 第1楽章：第1場より「ロシアの踊り」
2. 第2楽章：第2場より「ペトルーシュカの部屋」
3. 第3楽章：第3場より「謝肉祭」

原曲にある第1場の「群集」「人形使いの見世物小屋」、第3場の「ペトルーシュカの死」「警官と人形使い」「ペトルーシュカの亡霊」は、この編曲には含まれていません。ただし、アナトリー・ヴェデルニコフは「ペトルーシュカの死」と「ペトルーシュカの亡霊」を独自に追加した版を演奏しています。

難易度

オーケストラのサウンドをピアノで再現しようとしているため、音数が非常に多く、技術的に困難な箇所が多数存在します。演奏には高度な技巧が要求され、多くの箇所が3段譜で書かれています。また、曲の一部には4段譜で書かれている箇所もあり、演奏にあたっては綿密な運指の検討が不可欠です。

特に第3楽章における左手の2-4と3-5の指使いによるトリルは、指の構造によっては演奏不可能とも言われています。全体を通して重音奏法をいかに克服するかが大きな課題となり、大胆な跳躍も多いため、体力的な負担も大きい曲です。重音を多用するため、腰や腕の関節など、身体への負担も大きいため、成長期の奏者は避けるべきであるという指摘もあります。

難曲を数多くレパートリーに持つマルク＝アンドレ・アムランは、この曲を「技巧を見せびらかすだけの曲」と評し、自身は演奏しないと明言しています。

演奏

難曲であるにもかかわらず、この曲の録音は数多く存在し、根強い人気を誇っています。中でも、1972年に録音されたマウリツィオ・ポリーニの演奏は、技術的に安定した演奏として高く評価されています。

外部リンク

運指法（第1楽章）
運指法（第2楽章）
* 運指法（第3楽章）

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