ペニー・マーシャル

ペニー・マーシャル（本名：キャロル・ペネロープ・マシアレッリ、1943年10月15日 - 2018年12月17日）は、アメリカ合衆国を代表する映画監督、映画プロデューサー、そして女優として、エンターテインメント界にその名を刻みました。ニューヨーク市ブロンクスで生まれた彼女は、多岐にわたる才能を発揮し、映画とテレビの両方で大きな成功を収めました。

彼女のキャリアはまず女優として始まりました。テレビシリーズや舞台で経験を積み、特に1976年から1983年にかけて放送されたコメディシリーズ『ラバーン＆シャーリー』では、主演の一人として圧倒的な人気を博しました。この番組での愛らしい演技は、多くの視聴者に親しまれ、ペニー・マーシャル氏を国民的なスターへと押し上げました。彼女の兄は、『プリティ・ウーマン』などで知られる高名な映画監督、ゲイリー・マーシャル氏です。一方で、フランスで活躍する同姓の監督、トニー・マーシャル氏とは血縁関係はありません。

女優として確立された地位を築いた後、ペニー・マーシャル氏は新たな挑戦として監督業へと踏み出します。この転機には、『ラバーン＆シャーリー』シリーズで自身がメガホンを取った経験が大きく影響しています。テレビシリーズでの監督経験を経て、彼女は1986年に長編映画『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』で映画監督デビューを果たしました。この作品は、彼女の監督としての第一歩となりました。

その後、ペニー・マーシャル氏は次々とヒット作を生み出し、女性監督として映画界で確固たる地位を築きました。特に、トム・ハンクス主演のコメディ映画『ビッグ』（1988年）は世界的な大成功を収め、子供の心を持った大人の姿を描いたこの作品は、多くの観客に愛されました。続いて、難病患者と医師の交流を描いた感動作『レナードの朝』（1990年）では、ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズという名優たちの演技を引き出し、高い評価を得ました。また、第二次世界大戦中に実在した女子野球リーグを題材にした『プリティ・リーグ』（1992年）は、マドンナやジーナ・デイヴィスらが出演し、女性たちの連帯と困難に立ち向かう姿を描き、こちらも人気作となりました。他にも、『勇気あるもの』（1994年）、『天使の贈りもの』（1996年）、『サンキュー、ボーイズ』（2001年）といった作品を手掛け、幅広いジャンルで監督としての才能を発揮しました。

監督業が中心となった後も、彼女は時折女優としてスクリーンに登場しました。『アリスは悩める転校生』（2007年）や、オールスターキャストのアンサンブルコメディ『ニューイヤーズ・イブ』（2011年）などに出演し、女優としてのキャリアも全うしました。

ペニー・マーシャル氏は、2018年12月17日、ロサンゼルスの自宅にて、糖尿病に伴う合併症のため、75歳でその生涯を閉じました。女優として、そして特に映画監督として、彼女がエンターテインメント界に残した功績は大きく、後世に語り継がれるでしょう。女性監督がハリウッドの第一線で活躍する道を切り開いた一人として、彼女の影響力は計り知れません。彼女の作品は、今なお多くの人々に感動や笑いを届け続けています。

主な監督作品

『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』（1986年）
『ビッグ』（1988年）
『レナードの朝』（1990年）
『プリティ・リーグ』（1992年）
『勇気あるもの』（1994年）
『天使の贈りもの』（1996年）
『サンキュー、ボーイズ』（2001年）

主な出演作品

『アリスは悩める転校生』（2007年）
『ニューイヤーズ・イブ*』（2011年）

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