ペピ2世

ペピ2世の生涯と治世

ペピ2世（紀元前2278年 - 紀元前2184年）は、古代エジプト第6王朝のファラオとして、非常に長い治世を持ったことで知られています。彼の即位名、ネフェルカラー（Nefer-ka-Re）は、「美しきはラーの魂」という意味を持ち、彼が信じた神々への深い敬意を表しています。

幼少期と即位

ペピ2世は、紀元前2278年、僅か6歳でファラオの地位に就きました。この時期、王母アンクネスペピ2世および宰相ジャウが政治の実権を握っており、彼らの指導のもとで王は成長していきました。彼は100歳まで生き、94年間というエジプト史上最も長い治世を誇ります。

治世の特徴

ペピ2世の治世には、州侯の権力が増大していく様相が顕著でした。彼の前の第5王朝では、官吏の高人件費を賄うために、ピラミッド管理職などの地位を分与する政策が取られていました。この施策は当初、官吏の職権を保障し、安定した国家運営を支える役割を果たしました。

しかし時が経つにつれ、こうした分与の結果、州侯という地方勢力の力が中央政府を上回ることになりました。ペピ2世治世の後半では、特に上エジプトの州侯が自己の勢力を強化し、中央政府の影響力が著しく減少しました。特に「上エジプト長官」が地方神殿の管理権を握ったことは、州侯の影響力をさらに強固にしました。

末期の中央集権国家

ペピ2世の死に近づくにつれ、第6王朝は実質的に中央集権的な国家としての機能を喪失していました。彼の逝去後、次々と王位を継承したメルエンラー2世やネチェルカラーは、いずれも極めて短期間で王位を失いました。このことは、エジプトの政治的安定が崩れつつあることを示しています。

歴史的影響

ペピ2世は、長期にわたる治世を通じて古代エジプトにおける重要なファラオの一人と位置付けられています。彼の治世は、州侯の台頭と中央政府の衰退という流れを生んだことで、エジプト歴史の転換点の一つとなりました。彼が築いた制度や慣習は、後の時代にも影響を与え続けました。

彼の死後、エジプトの政治状況は急速に変化し、長寿のファラオとしての彼の名声はいまでも古代エジプトを象徴する一部分として語り継がれています。

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