ペルディクス

ペルディクス: ギリシア神話の発明者

ペルディクス（古希: Πέρδιξ, Perdix）は、ギリシア神話に登場する人物であり、特に鋸の発明者として知られています。彼はアテーナイの王族に属するダイダロスの親族であり、クレーテー島のラビュリントスの建設者とされる著名な建築家でもあります。しかし、ペルディクスの系譜にはいくつかのバリエーションがあり、混乱している点も少なくありません。

系譜について

アポロドーロスの記述によると、ペルディクスの父はエレクテウス王の息子メーティオーンであり、母はアルキッペーという人物でした。アルキッペーは、ダイダロスの姉妹であり、彼女には息子タロースがいました。シケリアのディオドーロスも、ダイダロスがエウパラモスの孫であり、ペルディクスをエウパラモスの子孫として説明しています。

また、オウィディウスやヒュギーヌスは、ダイダロスの姉妹の名前を明記していないものの、彼女の息子の名前としてペルディクスを挙げています。このように、ペルディクスの系譜は文献によって異なるが、いずれもダイダロスとの関係は明らかになっています。

神話の物語

ペルディクスの伝説には悲劇的な出来事が含まれています。アポロドーロスによると、彼の息子タロースはダイダロスの弟子として働いていました。ある時、タロースは蛇の顎を使って木を切る方法を考案し、鋸を発明しました。しかし、この才能に嫉妬したダイダロスは、タロースをアクロポリスから突き落として殺害しました。

この事件の後、ダイダロスはアテーナイの裁判で有罪となり、クレーテー島の王ミーノースのもとへ逃れます。シケリアのディオドーロスは、タロースがさらに鋸の模型を作り、鉄製の鋸を発明したことを詳細に記しています。その後タロースは次々と新しい発明を行い、ダイダロスは彼の成功を妬むようになります。

ダイダロスの罪が露見したのは、タロースの遺体を埋葬する際に「蛇を埋めている」と口を滑らせたからでした。このように、神話はダイダロスの不幸と嫉妬による悲劇を描いています。

オウィディウスの物語では、ダイダロスの息子イーカロスの死から語り始め、その中にペルディクスの存在を描写しています。ペルディクスはダイダロスの弟子としての才能を持ち、鋸やコンパスの発明を行いましたが、ダイダロスによって高所から突き落とされました。だが、アテーナーは彼を救い、鷓鴣という鳥に姿を変えました。この鳥は過去の記憶を持っており、かつての悲劇を自覚しているという趣があります。

ヒュギーヌスも同様の物語を記述しており、ペルディクスがダイダロスに嫉妬されて命を奪われたことを簡潔に伝えています。

ペルディクスの聖域

また、『スーダ』によると、アテーナイのアクロポリス近くには「ペルディクスの聖域」が存在しているとされます。そこでは、ダイダロスの姉妹ペルディクスの息子カロースがダイダロスに投げ落とされ、その悲劇に母ペルディクスは絶望して自らの命を終えました。この出来事を受けて、アテーナイの人々はペルディクスのために聖域を築き、彼女を崇拝するようになったのです。

このように、ペルディクスの物語はギリシア神話における嫉妬や悲劇を象徴するものであり、同時に発明や創造性の価値も反映されています。

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