ペルディッカス1世

ペルディッカス1世：マケドニア王国の創始者

ペルディッカス1世（紀元前700年 - 紀元前678年頃）は、古代マケドニア王国のアルゲアス朝の初代王として知られています。彼の治世は、マケドニアが周辺地域を征服し、王国としての基盤を確立した重要な時期でした。

生涯

歴史家ヘロドトスによれば、ペルディッカス1世はテメノスの子孫であり、兄弟のガウアネス、アエロポスと共にイリュリアからマケドニアに逃れてきました。彼らは上マケドニアのレバイアという町で王に雇われ、それぞれ馬、牛、その他の小家畜の世話をする仕事を与えられました。

ある日、ペルディッカスの焼いたパンが異常に大きく膨らむという出来事が起こります。これを見た王は、それを不吉な予兆とみなし、兄弟に国外退去を命じました。兄弟は賃金の支払いを求めましたが、王は彼らを嘲笑し、部屋に差し込む日の光を指して「これを賃金として与えよう」と言いました。兄たちは戸惑いましたが、末弟のペルディッカスは機転を利かせ、小刀で日の光の形をなぞり、それを懐に入れる仕草をしました。これは、彼が王位と領土を手に入れることを象徴する行動でした。

王は後にペルディッカスの行動の真意に気づき、追っ手を差し向けましたが、兄弟は追跡を逃れ、マケドニアの「ミダスの園」と呼ばれる場所の近くに住み着きました。そして、この地を拠点として、マケドニアとその周辺地域を征服し、王国を築き上げました。

業績

ペルディッカス1世は、マケドニア王国の基礎を築いた王として評価されています。彼は周辺地域を征服し、王国の領土を拡大しました。また、王国の政治・軍事制度を整備し、王権を強化しました。彼の後を継いだ息子のアルガイオス1世も、王国の発展に貢献しました。

伝説

ペルディッカス1世の生涯は、多くの伝説に彩られています。特に、日の光を賃金として受け取るエピソードは、彼の知恵と勇気を象徴するものとして広く知られています。これらの伝説は、ペルディッカス1世を英雄として描き出し、マケドニア王国の正当性を主張するために利用されました。

まとめ

ペルディッカス1世は、マケドニア王国の創始者として、その後の王国の発展に大きな影響を与えました。彼の知略と勇気、そして王としての手腕は、後世に語り継がれ、マケドニアの歴史において重要な人物として位置づけられています。

参考文献
ヘロドトス著、松平千秋訳、『歴史』（中・下）、岩波書店、1972年
エウセビオスの『年代記』の英訳

もう一度検索