ペローニ

イタリアの国民的ビール、ペローニ：歴史、ブランド、そしてグローバル展開

イタリアを代表するビールブランド、ペローニ。その歴史は1846年、ロンバルディア州ヴィジェーヴァノでの創業にまで遡ります。創業者フランチェスコ・ペローニの名を冠した同社は、1864年にはローマに拠点を拡大、イタリア王室サヴォイア家御用達ビールにも選ばれるなど、順調な成長を遂げました。

ペローニ社の躍進は、その後も続き、1990年代までには世界的なブランドへと成長を遂げます。2005年には大手ビールメーカーSABミラー社に買収されますが、2016年にはアサヒグループホールディングス傘下となり、現在に至ります。アサヒグループホールディングス傘下に入って以降は、欧州向けアサヒスーパードライの製造も担うなど、グローバルな展開を加速させています。具体的には、2017年9月からパドヴァ工場で、2020年6月からはローマ工場で、缶や瓶入りのアサヒスーパードライの生産を開始。これにより、欧州各国向けのアサヒスーパードライはペローニ社製のものが主流となっています。

ペローニ社の主力商品：誰もが楽しめる、イタリアの味

ペローニ社は多様なビールを展開していますが、その中でも特に有名なのが「ペローニ」と「ナストロ・アズーロ」です。「ペローニ」はアルコール度数4.7%のペールラガーで、同社のオリジナルブランドであり、イタリアで最も売れているビールとして知られています。1950～60年代にはイタリア全土にブランド名が浸透し、その後は海外展開にも力を入れた結果、現在では世界的に有名なイタリアビールとなりました。

一方、「ナストロ・アズーロ」(青いリボン)は、アルコール度数5.1%のプレミアムラガーです。1965年に発売開始されたこのビールは、1933年にブルーリボン賞を受賞したイタリア船籍のオーシャン・ライナー「レックス」にちなんで名付けられました。その洗練された味わいは、イタリア国内のみならず世界中で高い評価を獲得しています。モータースポーツ、特にMotoGPライダーのバレンティーノ・ロッシへのスポンサーシップも記憶に新しいでしょう。

ペローニ社のその他の商品

「ペローニ」と「ナストロ・アズーロ」以外にも、ペローニ社は幅広いビールを展開しています。アルコール度数5.6%のペールラガー「Crystall」、6.6%のストロングラガー「Peroni Gran Riserva」、5%のペールラガー「Peroncino」、そして3.5%のライトなペールラガー「Peroni Leggera」など、多様なニーズに対応した商品ラインナップが特徴です。さらに、1829年創業の「Wuhrer」ブランド（ブレシア）でも4.7%のペールラガーを製造・販売しています。

ペローニ社の成功：価格と味のバランス、そしてブランド力

ペローニ社の成功要因は、価格と味のバランスにあると言えるでしょう。「誰でも手軽に飲める」をコンセプトに低価格帯を維持することで、幅広い層に支持されています。ピッツァなどのファーストフードとの相性も良く、イタリアの国民的ビールとしての地位を確立しています。もちろん、味についてもそれなりの評価を得ている一方、本格派ビール愛好家からは辛口の評価もあるのも事実です。しかしながら、ブランド力と親しみやすさ、そして市場への浸透度は他社の追随を許さないものがあります。

ペローニ社の歴史は、イタリアのビール文化、そしてグローバルなビール市場におけるイタリアの存在感を示す重要な事例と言えるでしょう。アサヒグループホールディングスの傘下入り後も、その人気は衰えることなく、世界中で愛飲されています。今後、同社がどのような展開をみせるのか、注目が集まります。

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