ペンシルベニア駅 (ニューヨーク)

ニューヨークの交通拠点、ペンシルベニア駅（ペン・ステーション）

ペンシルベニア駅、通称ペン・ステーションは、ニューヨーク市マンハッタン区チェルシー地区に位置する巨大な鉄道駅です。グランド・セントラル駅と並び、ニューヨークを代表するターミナル駅として、1日に約600本もの列車が発着する、まさに交通の大動脈と言えるでしょう。

ペン・ステーションの概要

ペン・ステーションは、7丁目と8丁目、31丁目と32丁目に囲まれたエリアに位置し、駅舎はマディソン・スクエア・ガーデンと複合施設となっています。駅の主要部分は地下にあり、プラットフォームは隣接するジェームズ・ファーレー郵便局の地下まで広がっています。周辺ではハドソン・ヤード再開発が進んでおり、ブロードウェイやメイシーズなどの商業施設も立ち並ぶ賑やかなエリアです。

ペン・ステーションの歴史

初代駅舎：壮麗なるボザール様式の建築

1910年に開業した初代ペンシルベニア駅は、ペンシルバニア鉄道のマンハッタン乗り入れの悲願を叶えた駅でした。当時、ハドソン川を渡る鉄道橋の建設が困難だったため、河底トンネルを電化し、電気機関車が蒸気機関車を牽引することで、マンハッタンへの乗り入れを実現しました。

建築事務所マッキム・ミード・アンド・ホワイトによって設計された駅舎は、古代ギリシアの神殿を彷彿とさせる荘厳なボザール様式の建築物でした。列柱が並ぶ美しい外観は、当時のニューヨークのランドマークとして人々を魅了しました。

二代目駅舎：近代化と引き換えに失われた美

しかし、第二次世界大戦後、鉄道利用者の減少とともにペンシルバニア鉄道の経営が悪化。駅舎を建て替え、不動産収入を増やすことになりました。1963年に初代駅舎は解体され、マディソン・スクエア・ガーデンと共有の建物に生まれ変わりました。この解体は、歴史的建築保存運動の高まりにつながり、後のグランド・セントラル駅保存の契機となりました。

三代目駅舎：モイニハン・トレイン・ホール

2021年1月1日、ジェームズ・ファーレー郵便局を改築したモイニハン・トレイン・ホールが開業しました。初代駅舎と同じくマッキム・ミード・アンド・ホワイトが設計したボザール様式の建物を再利用し、ガラス張りの吹き抜けが設けられた開放的な空間は、新たな駅のシンボルとなっています。

発着路線

ペン・ステーションからは、ロングアイランド鉄道（LIRR）、ニュージャージー・トランジット、アムトラックなど、多数の鉄道路線が発着しています。

アムトラック

アムトラックは、長距離列車を中心に運行しており、ニューヨークと各地を結んでいます。

アセラ・エクスプレス: ワシントンD.C.までを結ぶ高速列車。ボストン方面へ直通運転。
ノースイースト・リージョナル: ボストン、バージニア州方面へ向かう列車。
バーモンター: バーモント州セント・オールバンズまで向かう列車。
キーストーン・サービス: ハリスバーグまでを結ぶ列車。
* レイク・ショア・リミテッド: シカゴまでを結ぶ列車。

その他、カナダ方面へ向かうアディロンダック、エンパイア・サービス、メープルリーフなども発着しています。

接続路線

ペン・ステーションは、ニューヨーク市地下鉄やPATH（ニュージャージー州への地下鉄）への乗り換えも可能です。また、周辺にはバス停も多く、都市間バスや一般バスを利用することもできます。

まとめ

ペンシルベニア駅は、ニューヨークの交通を支える重要な拠点であり、その歴史はニューヨークの発展とともに歩んできました。初代駅舎の解体は、歴史的建築保存の重要性を訴えるきっかけとなり、モイニハン・トレイン・ホールの開業は、駅の新たなシンボルとして、多くの人々に利用されています。ニューヨークを訪れる際には、ぜひペン・ステーションを利用して、その歴史と魅力を感じてみてください。

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