ホイシュレッケ

ホイシュレッケ 10 (Heuschrecke 10)

ホイシュレッケ 10は、1943年から1944年にかけてドイツのクルップ・グルゾン社によって開発された試作自走砲および兵装運搬車です。この車両は、制式名称として105 mm leichte Feldhaubitze 18/1 L/28 auf Waffenträger Geschützwagen IVbが用いられ、製造はドイツのマクデブルクで行われる予定でした。

ホイシュレッケの最大の特長は、搭載している砲塔が取り外し可能である点です。この砲塔は、降ろした後トーチカとして利用でき、また砲兵部隊の装備として車両の後方に取り付けて牽引することも可能でした。

開発背景

1939年に兵器局第6課がクルップ社に対し、ラインメタル社が製作した28口径10.5cm軽榴弾砲leFH18を搭載した自走砲の開発を要求しました。この企画が発展する中で、1940年には「leFH18/1搭載IV号b型装甲自走砲」という設計案が提示され、試作車が製造されましたが、これらは機構面で取り外し可能な砲塔の設計がなされておらず、実用には至りませんでした。

その後、改修されたIV号戦車の車体をベースにした試作車の製造が進み、1941年には初めての試作車が完成しました。ドイツ国防軍はこのIV号b型を受け入れ、量産が視野に入ったものの、ホイシュレッケ計画がより有望視されたため、1942年11月に他の計画が中止され、試作車両の生産は続行されました。

設計と仕様

ホイシュレッケ10は、その設計が進む中で、IV号戦車の短縮型を使用していましたが、その後フンメル自走砲用のゲシュッツヴァーゲンIVの車体に変更されました。試作型は1942年にデザインが始まり、1943年には3両が製造され、ホイシュレッケ10またはホイシュレッケIVbという名称が付けられました。これらはクルップ社の設計に基づいていますが、他製造社の類似設計とも競合する結果となりました。最終的に、量産開始は1945年に予定されていましたが、実際には行われることはありませんでした。

開発の中止

ナチス・ドイツの上級司令部は、ホイシュレッケの量産が他の戦車生産に混乱を招く懸念を抱いており、兵装運搬車の生産に必要な素材や資源も十分ではなく、結局1943年2月に開発は中止されました。

残存車両

今日、唯一のホイシュレッケ10の生存が確認されています。この車両は当初アバディーン性能試験場で展示されていましたが、後にフォート・シル野戦砲兵博物館に移されました。2012年、同博物館に到着した際に、レストア作業も行われることになりました。

ホイシュレッケ10は、その設計や機能から見て非常に先進的なものでしたが、最終的には量産には至らなかったため、稀少価値の高い戦車として評価されています。

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