アバディーン性能試験場

アバディーン性能試験場 (Aberdeen Proving Ground, APG)

アバディーン性能試験場は、アメリカ合衆国メリーランド州ハーフォード郡アバディーン近郊に位置する、アメリカ陸軍の重要な軍事施設です。この施設は、武器の開発、試験、および関連する研究において中心的な役割を果たしています。

地理

アバディーン性能試験場は、アメリカ国勢調査局によって国勢調査指定地域（CDP）に指定されています。その位置は、北緯39度28分24.42秒、西経76度8分27.01秒（39.473451, -76.140837）です。総面積は31.0平方キロメートル（12.0平方マイル）で、そのうち29.4平方キロメートル（11.4平方マイル）が陸地、1.6平方キロメートル（0.6平方マイル）が水域です。海抜は13メートル（43フィート）です。

主要な高速道路としては、州間高速道路95号線と国道40号線が付近を通っています。

近隣の都市には、北西にメリーランド州アバディーン、南西にメリーランド州ボルチモアがあります。

人口統計

2000年の国勢調査では、アバディーン性能試験場には3,116人、805世帯、763家族が暮らしていました。人口密度は1平方キロメートルあたり105.8人（1平方マイルあたり274.1人）です。人種構成は、白人50.48%、アフリカ系アメリカ人34.60%、ネイティブ・アメリカン0.64%、アジア系3.11%、太平洋諸島系1.25%、その他5.68%、混血4.24%です。ヒスパニックまたはラテン系は11.20%です。

世帯構成としては、18歳未満の子供と同居している世帯が78.0%、同居夫婦が84.1%です。1世帯あたりの平均人数は3.52人、1家族あたりの平均人数は3.63人です。

年齢構成は、18歳未満が40.1%、18歳から24歳が10.3%、25歳から44歳が44.9%、45歳から64歳が4.4%、65歳以上が0.2%です。平均年齢は25歳です。女性100人に対し男性は113.9人、18歳以上では女性100人に対し男性が117.6人です。

1世帯あたりの平均所得は38,875ドル、1家族あたりの平均所得は40,306ドルです。男性の平均所得は26,943ドル、女性の平均所得は26,194ドルです。住民1人あたりの平均所得は12,808ドルです。約4.2%の家族と5.6%の住民が貧困線以下で生活しています。

軍事施設としての歴史と役割

アバディーン性能試験場は、アメリカ陸軍で最も古い現役の実験場の一つであり、1917年10月20日に設立されました。これは、アメリカが第一次世界大戦に参戦してから6ヶ月後のことです。最初の砲撃は1918年1月2日に行われました。当初は、大型武器の試験には手狭であったサンディフック性能試験場の代替として、武器弾薬の設計と試験を生産拠点や輸送センターに近い場所で行うために設立されました。

第二次世界大戦中には、ピーク時には2,348人の士官と24,189人の下士官兵を収容できるほどでした。また、初期のコンピュータであるENIAC、EDVAC、ORDVACが設置され、弾道計算などに使用されていたことでも知られています。

アバディーン性能試験場は、ハーフォード郡の72,962エーカー（295.27平方キロメートル）の広大な領域を占めています。北端はサスケハナ川がチェサピーク湾に流れ込む河口に近く、南端はガンパウダー川に接しています。施設は、ブッシュ川によって隔てられた2つの半島にまたがっており、北東部はアバディーン・エリア、南西部はエッジウッド・エリアと呼ばれています。エッジウッド・エリアには、エッジウッド化学事業場（Edgewood Chemical Activity）という化学兵器貯蔵庫があります。

付属施設

主要施設以外にも、チャーチビル試験区域とキャロル・アイランド、グレイス・クォーターズが付属施設として存在します。チャーチビル試験区域は、軍用車両の試験を行うためのテストトラックです。

アバディーン性能試験場は、アメリカ陸軍武器科の本拠地でもあり、武器科長、武器科長官房局、アメリカ陸軍武器センター、武器学校があります。武器学校で訓練を受ける隊員が所属する第61武器旅団も駐屯しています。

また、敷地内にはアメリカ陸軍兵器博物館があり、主に地上兵器が展示されています。特に戦車の展示が多いため、「アバディーン戦車博物館」と呼ばれることもあります。ここには、アメリカ軍で使用された兵器だけでなく、第二次世界大戦中に鹵獲されたドイツ軍や日本軍の兵器も展示されています。

チャーチビル試験区域

チャーチビル試験区域は、ベルエアーの北東に位置する軍用車両試験施設です。丘陵地に設置されたクロスカントリー路上試験トラック群で構成されており、約250エーカーの敷地に11マイルの周回路、泥、塵、砂利の路面、7%から29%の急勾配の斜面を持つ3マイルと4マイルの周回コースがあります。これらのトラックは、M1エイブラムス戦車、M2ブラッドレー歩兵戦闘車、HMMWVなどの軍用車両の耐久性をテストするために使用されています。

陸軍は、この試験区域そばの農地を緩衝地帯として確保し、軍事訓練と住民の安全を両立させる取り組みを行っています。

エッジウッド化学事業場

エッジウッド化学事業場は、アメリカ陸軍の化学兵器保存施設です。1941年以降、アメリカ陸軍は国内で生産された化学剤の一部をここで保管していました。2001年のアメリカ同時多発テロ事件後、これらの化学兵器の廃棄が前倒しされ、アバディーン化学剤処理施設が建設されました。この施設で、1,622米トン（1,472トン）の化学剤が処理され、2006年2月までに廃棄が完了しました。

不祥事

1996年、アバディーン性能試験場で女性訓練生に対する強姦事件が発覚し、12名が起訴されるという不祥事がありました。この事件では、軍の階級関係を利用した強姦が認定され、その構造的な問題点が指摘されました。この事件をきっかけに、アメリカ陸軍は同様の事例を調査するためにホットラインを設け、世界中の女性兵士から5,000件を超える相談や告発が寄せられました。

外部リンク

• - アバディーン性能試験場公式サイト（英語）
• - アメリカ陸軍兵器博物館（英語）

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