ホウキギ

ホウキギ（箒木）

ホウキギ（学名: Bassia scoparia）は、ヒユ科に属する一年生の草本です。この植物は一般的に「ホウキグサ」とも呼ばれ、主に乾燥した茎が箒として利用されます。成熟した果実は「とんぶり」として食べられることもあり、日本では多様な用途で重宝されています。

名称

和名のホウキギは、その名の通り、乾燥させた茎が箒の材料として使われることに由来しています。園芸分野では、特に「コキア」という名で広く知られていますが、地域によっては「ハハキギ」、「ニワクサ」、また「トンブリ」といった呼び名もあります。中国名では「地膚（じふ）」と称され、学名の「スコーパリア」は「ほうき状の」という意味を持っています。

特徴

ホウキギは、ヨーロッパや南アジア、中国を原産とし、日本にも古くから伝わって栽培されています。植物自体は1メートル以上に成長し、直立した茎は最初は緑色、その後赤くなります。球形または楕円形の全体が特徴的で、8月から9月には茎が赤みを帯びながらも固まっていきます。葉は細長い形状をしており、夏から秋にかけては淡緑色の花が茎から束生します。花は雄花と雌花に分かれ、雄花は黄色の葯を持ち、雌花は目立たない深緑色です。果実は宿存萼に包まれ、成熟することで星形になります。

種子は風に吹かれることで散布され、このプロセスがタンブルウィードとして知られる現象を引き起こします。

栽培法

ホウキギの種子は非常に小さいため、前シーズンに植えた苗を移植する方法が一般的です。日本国内では主に秋田県や山形県で栽培されており、害虫としてはツツミノガ類が問題となっています。

利用法

箒としての利用

ホウキギは秋に紅葉した後、収穫して約1か月間干してから箒に加工されます。観賞用としても人気です。

食用・薬用

果実は食用や薬用に利用され、若芽も食べられます。淡白な味の食感から「畑のキャビア」と称され、秋田県の特産品「とんぶり」の原料にもなっています。収穫後、果実は乾燥させて調理に使用されます。さらに干したものは地膚子（じふし）という生薬になり、滋養強壮、膀胱炎や皮膚病に効果があるとされています。民間療法では、特定の煎じ方が知られています。また、皮膚病に対しては、布袋を用いた入浴が推奨されていますが、皮膚が冷えているときの使用は避けるべきです。

飼料や野生動物の餌

ホウキギは動物の飼料としても使われますが、高濃度のサポニンやアルカロイド、硝酸塩を含むため、大量に摂取すると健康に危険を及ぼす可能性があります。この草は、牛やヘラジカなどの野生動物が好んで摂取します。

観賞用や緑化としての利用

観賞植物としても利用され、特に花箒木という品種が人気です。また、荒れた土地でも育成しやすい特性を持ち、侵食防止や植生回復に寄与します。ただし、他の植物の生育を妨げる可能性があるため、注意が必要です。

ホウキギは、その多様な利用法と美しい姿から、日本国内外で広く知られた植物となっています。生態系や農業において重要な役割を果たしていることは間違いありません。

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