キャビア

キャビアとは

キャビアは、チョウザメの卵を塩漬けした高級食材で、オードブルや高級料理に用いられることが多い。一般的に「キャビア」と聞くとチョウザメの卵が思い浮かぶが、ヨーロッパの多くの国では様々な魚の卵の総称として使用される。同様にロシアでは「イクラ」という言葉が魚卵全体を指すため、地域によって言語が異なる場合がある。国連食糧農業機関の定義では、キャビアはチョウザメの卵のみを指し、その他の魚卵は「キャビア代替品」となる。

主な産地

キャビアの主要な産地はロシアで、特にカスピ海やアムール川が有名である。イランもカスピ海に面しており、イラン産のキャビアも流通している。カスピ海で捕れるチョウザメの種類によって、卵の大きさやブランド価値が異なり、ベルーガ、オシェトラ、セヴルーガの順に高級とされる。アムール川ではカルーガやアムールスタージョンが養殖されており、高品質のキャビアが供給されている。

キャビアの味は、チョウザメが食べるプランクトンの種類とも関係があり、カスピ海産のキャビアは特に味わいが深いとされています。また、同じカスピ海産でもロシアとイランでは品質に差があり、これはそれぞれに特有の捕獲方法や使用する塩の種類に起因している。

養殖の現状

過去数十年間、乱獲が問題となり、野生のチョウザメの捕獲は禁止され、現在は養殖が広く行われている。2020年代には世界市場の90％が養殖によるもので、その中でも中国が大規模な養殖業を展開している。特に千島湖での養殖は注目され、ルフトハンザ航空のファーストクラスでも提供されるようになっている。養殖種はカルーガやオシェトラ、アムール、シベリアなどがあるが、ベルーガも一部生産されている。

日本でもキャビアの養殖が行われており、特に宮崎県の「MIYAZAKI CAVIAR 1983」や、近畿大学による「近大キャビア」などが知られている。日本の養殖業者は、良質なキャビアを低塩分で仕上げることを心がけており、輸入品との差異を明確にしている。

製造法と流通

キャビアは一般的に7-10%の塩分濃度で塩漬けされ、その風味が失われがちであったが、最近では低い塩分濃度での保存が可能になり、熟成キャビアが市場で注目されている。また、品質保持のため、輸入業者はホウ酸などの防腐剤を添加することもあり、アメリカや日本向けにはリパックして販売されることが多い。日本では安全基準に従って安息香酸を使用することが認められており、これも流通に影響する要因となっている。

価格の高騰と市場動向

近年、チョウザメの漁獲高の減少に伴い、キャビアの価格は高騰している。この背景にはキャビアの供給不足だけでなく、無秩序な乱獲があったため、国際的に取引が厳しく規制されることになった。その結果、キャビアの供給は養殖によって補われるようになり、特に中国が世界市場の大部分を占めるようになった。

それでも、最高級のキャビアは高値で取引され、100gあたり数万円から20万円を超え、価格帯は広がっている。また、日本で生産される国産キャビアも税関を通じて輸出が解禁され、徐々に海外市場に進出していく動きが見られる。

まとめ

キャビアはその独特な風味と食感から、高級食材として多くの料理に使用されますが、その生産方法や市場動向は複雑である。今後も持続可能な養殖と供給システムが求められる中で、日本国内での生産や消費の拡大も期待されます。

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