ホシササノハベラ

ホシササノハベラ（Pseudolabrus sieboldi）

ホシササノハベラは、ベラ目に属する海水魚で、日本の海域で広く見られる種類です。日本では「ササノハベラ」として知られるこの魚は、見た目や生態において特有の特徴を持っています。

特徴

ホシササノハベラは雄の個体（TP）と雌や幼魚（IP）で見た目が異なります。雄は背面に白い斑点が並び、胸鰭の基部には黒い斑点がないため、アカササノハベラとの区別ができます。雌および幼魚も同様に特徴的で、背中の白い斑点や、目の下を横切るラインが胸鰭まで達しないことが、アカササノハベラとの違いにつながっています。また、背鰭と臀鰭は鮮やかな黄色を呈し、求愛の際には雄の尾鰭が黒っぽく、体の前半部分は青白く変化する様子が観察されます。

分布と生態

この魚は青森県の日本海側から屋久島まで、幅広い地域に生息しています。ただし、小笠原諸島や沖縄島ではアカササノハベラが確認されており、後者も数は少ないことが知られています。さらに、国外では韓国の済州島や台湾でも目撃されています。ホシササノハベラは比較的浅い海域から少し深い岩礁までの範囲で見られ、環境への適応能力が優れています。

記載とシノニム、別名

1997年には、東アジアに生息するササノハベラ属が整理されました。それまで日本で「ササノハベラ」と呼ばれていた種はPseudolabrus japonicusとされていましたが、この名称は他の種との混乱を招く可能性があるため、ホシササノハベラとアカササノハベラに新たな和名がつけられました。アカササノハベラは広東をタイプ産地とするPseudolabrus eoethinusに関連付けられ、ホシササノハベラは新種として記載されました。愛媛県室手がそのタイプ産地として知られています。

地方名は多岐にわたります。たとえば、アカササノハベラには「アカベラ」や「エビスベラ」といった名称があり、地域ごとに異なる名称が存在します。長崎県の「クサブ」は他の魚との混同が見られるため特に注意が必要です。

ヒトとのかかわり

ホシササノハベラは日本近海に多く分布しており、釣りの際に目にすることがあります。釣りは主に磯や船釣りの形で行われますが、特にこの魚をターゲットにすることは少ないでしょう。それでも、ホシササノハベラは煮つけや塩焼きに適しており、その味わいは多くの人々に好まれています。

水中での魅力的な特徴と味わいから、ホシササノハベラは日本の海の生態系の一部として重要な存在であり、地域を越えても多様な呼び名で親しまれています。

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