ホシダ

ホシダ（Thelypteris acuminata）

ホシダは、ヒメシダ科に属するシダ植物で、一般的には山林や人家の周辺に見られるため、非常に身近な存在です。雑草的な性質を持ち、特に人為的に撹乱された場所、如く林道や畑の周囲によく姿を見せます。

特徴

ホシダの根茎は横に広がり、長い形状を持ちます。根茎には鱗片が見られ、葉は根茎から間隔を置いて生えており、立ち上がって80センチメートルほどの高さに達します。葉柄の下部は褐色で、初めは毛で覆われていますが、成長に伴い脱落します。葉の基部には鱗片も伴っています。

葉身は広披針形をしており、一見すると二回羽状複葉に見えることもありますが、実際は一度の羽状複葉です。裂片は葉身の中程から基部にかけて最大となり、先端に近い部分で細かく羽状に裂ける特徴があります。全体的には薄くも硬い葉であり、表面は滑らかですが、少しザラザラした印象を与えます。胞子嚢群は葉の裏側に沿って整然と並び、円形の胞子のう群が主脈とその縁の間に見られます。

生育環境と分布

ホシダは様々な環境に適応し、山林の道沿いや人家の周囲、田舎道のわきや水路の石垣などで広く見られます。人間の活動の影響を受けやすい場所に群生することが多く、畑地でも雑草としてよく目にすることができます。日本本州の北陸地方以南や琉球列島にも生育し、さらに朝鮮半島や中国南部、インドシナにまでその生息範囲を持っています。名前の由来には、その葉の形状が槍の穂に似ていることが挙げられます。

変異

ホシダにはいくつかの変種が存在します。

• - イヌホシダ var. kuliangensis: 小型で根茎が短く、葉が密生。同地域に分散して見られます。
• - イヨホシダ var. ogatana: 最下の羽片が特に長く、時には二回羽状になることがある。

主に静岡と愛媛に分布しています。

• - シシホシダ: 羽片の先端が細かく裂ける変種。
• - チリメンホシダ: 羽片の裂片がさらに深く裂けるものとされます。これらは一般的に奇形的な個体と見なされます。

近似種

ホシダ属には800種以上が存在し、日本国内でも多くの種が見られます。中でも、ホシダに比較的似た代表的な種を紹介しますが、分類に関しては多くの議論があるため注意が必要です。

• - ケホシダ: ホシダに似つつも、葉は柔らかく、毛が多く生えている。
• - イヌケホシダ: ホシダに近いが、葉柄からの毛が見られる。
• - テツホシダ: ホシダに類似していますが、葉の切れ込みは浅く、湿地での生育が特徴。

ホシダは各地で簡単に見つけられるシダであり、その生態的な役割や特徴からも興味深い植物です。日本の湿地や森林の環境において、精力的に生育し、他の植物との共生関係も築いているため、自然の一部として大切にする必要があります。

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