ホシツリモ

ホシツリモ（星吊藻）

ホシツリモ（学名: Nitellopsis obtusa）は、シャジクモ目のホシツリモ属に属する大型の藻類です。この藻は、通常は40〜70センチメートルの長さを持ち、最長で2.5メートルにまで成長することがあります。主軸の直径は約1ミリメートルで、皮層を欠いた特異な形状をしています。主軸の節部には大きな細胞があることがあり、特に注目すべき点は、小枝が分岐しないことです。そのため、一見フラスコモ属に似ているものの、星状のむかごを形成することで明確に区別できます。

ホシツリモは、雌雄異株であるため、有性生殖のためには異なる性別の個体が必要ですが、日本国内では有性生殖が非常に稀であると考えられています。そのため、主に無性生殖を行うことで繁殖します。特に、藻体下部に形成される星状のむかご（星状体）によって次世代を生成します。この構造がホシツリモという名前の由来です。

生息地と分布

ホシツリモは、ユーラシア大陸を中心に分布しており、特にヨーロッパから南アジア、東アジアにかけて見られます。タイプ産地はフランスで、日本国内では一時期、絶滅したと考えられていましたが、後に再発見がされました。2025年の現在、千葉県、山梨県、滋賀県、新潟県などでその存在が確認されています。ホシツリモは主に淡水や汽水の湖沼で生育し、比較的深い水深に生息しています。

1970年代に北米（五大湖地域）に侵入した際は、船のバラスト水が原因だとされ、外来種として急激に増殖しました。北米での増殖の影響も目立ち、日本においては環境が悪化したことからホシツリモを含むシャジクモ類が急激に減少し、特に1970年代以降には著しい減少が見られました。野尻湖では1980年代にソウギョの導入により、シャジクモ類が絶滅してしまいました。このような経緯から、2000年にはホシツリモが野生絶滅種とされたことがありましたが、2007年に河口湖で再発見されたことで、絶滅危惧I類に変更されました。

現在の保全状況

再発見された後、ホシツリモはその生育地を広げ、状況が改善されつつあるものの、依然として絶滅危惧I類に指定されています。また、長野県では地元の系統保存株を用いた復元活動が行われており、地域の生物多様性の保全に貢献しています。2025年の環境省レッドリストでは、ホシツリモは依然として絶滅危惧種として認識されています。

このように、ホシツリモはその独特な生殖方法と分布から、生態系の中で重要な役割を果たす藻類です。日本の多様な環境での生存と保全活動が今後も注目されます。

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