ホスロー (バハラーム4世の皇子)

ホスローは、サーサーン朝の君主であり、420年に短期間のみ王位に就きました。彼の王位は、当時のサーサーン朝における貴族たちの権力闘争と、それに伴う王位継承の混乱を背景に成立しました。

即位までの経緯

ホスローは、バフラーム4世の息子として生まれました。シャープール2世の死後、サーサーン朝の貴族や神官団は、王権を軽視し、自らの権力と影響力を増大させていきました。その結果、ヤズデギルド1世を含む多くの王が擁立、廃位、そして殺害されるという事態に陥りました。ヤズデギルド1世の死後、貴族たちはその息子たちが王位に就くことを阻止しようとしました。

ヤズデギルド1世の長男であるシャープールは、当時アルメニアを統治していましたが、急遽首都クテシフォンへ向かい、シャープール4世として王位に就きました。しかし、彼もまた貴族たちの手によって殺害され、その後、ホスローが王として擁立されたのです。

バフラーム5世との対立と退位

しかし、ホスローの王位は長くは続きませんでした。ヤズデギルド1世のもう一人の息子であるバフラームは、貴族たちの決定に反発し、アル＝ヒーラのラフム朝の王、アル＝ムンズィール1世に軍事的な支援を要請しました。アル＝ムンズィール1世はこれに応じ、バフラームと共に大軍を率いてクテシフォンへ進軍しました。

バフラームは貴族たちに対し、父ヤズデギルド1世のような統治は行わないことを約束しました。また、『シャー・ナーメ』に記された伝説によれば、バフラームは王冠と王の衣装を二頭のライオンの間に置き、この猛獣を倒して王冠を取り戻した者こそがペルシアの王にふさわしいと提案しました。

ホスローはこの提案を拒否しましたが、バフラームは見事に試練を乗り越え、バフラーム5世として王位を獲得しました。ホスローの退位後の消息については、記録が残っておらず、その後の人生は不明です。

ホスローの短い治世は、サーサーン朝末期の不安定な政治情勢を象徴する出来事と言えるでしょう。貴族たちの権力闘争と、それによって翻弄される王位継承の様子が、彼の生涯を通して垣間見ることができます。

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