ホテルオークラ札幌

ホテルオークラ札幌の歴史と閉館、そして未来

1980年、関兵精麦株式会社がホテルオークラの協力を得て開業した「ホテルアルファ・サッポロ」は、北海道札幌市のホテル業界において重要な役割を果たしました。その後、バブル経済崩壊の影響を受け経営危機に陥ったものの、加森観光グループを経て、2003年にはホテルオークラの子会社として「ホテルオークラ札幌」として生まれ変わりました。

長い歴史の中で、ホテルオークラ札幌は札幌市民や観光客から愛されるホテルとして、数々の思い出を刻んできました。しかし、築40年近い建物の老朽化は避けられず、耐震補強や建て替えが検討されました。多額の費用と長期の休業が必要となる大規模な改修工事は、経営面での課題となり、現在地での建て替えによる経営効率の低さも考慮すると、建て替えによる再出発は困難と判断されました。

そのため、2021年9月20日をもって営業を終了する決断が下されました。閉館は、長年ホテルを支えてきた従業員や、ホテルに思い出を持つ多くの人々にとって大きな衝撃でした。しかし、ホテルオークラは札幌市内での新たな用地開発を目指し、オークラブランドの中でも高級ラインである「プレステージ」ブランドのホテル開業を計画しています。この計画は、ホテルオークラ札幌の新たな歴史の始まりを示唆しています。

一方、ホテルオークラ札幌の跡地は、アオイ・インベストメント札幌から三菱地所へと売却され、オフィスビルの建設が計画されていました。しかし、2022年9月に三菱地所は、同跡地に新たなホテルを建設する計画を発表しました。地下1階地上15階建てのホテルは、札幌の新たなランドマークとなる可能性を秘めていました。しかし、世界的な物価高騰、特に資材価格の高騰や人材不足といった問題に直面し、採算がとれないと判断。2023年7月27日、三菱地所は無期限延期を発表しました。

ホテルオークラ札幌は、その歴史の中で、数多くの客室、レストラン、バンケットルームなどを備え、ビジネス客や観光客に快適な滞在を提供してきました。ダブルルーム、ツインルーム、スイートルームなど、様々なタイプの客室は、利用者のニーズに合わせて用意されていました。また、レストランでは、西洋料理、中華料理、バーなど、多様な料理を楽しむことができました。さらに、会議室や宴会場も充実しており、様々なイベントに対応できる設備が備えられていました。チャペルやブライダルサロンも完備されており、結婚式場としても利用されてきました。

アクセス面も優れており、札幌市営地下鉄大通駅からも至近距離に位置していました。大通公園にも近く、観光にも便利な立地でした。札幌駅や新千歳空港からも容易にアクセスすることができ、ビジネスや観光の拠点として最適な場所でした。

ホテルオークラ札幌の閉館は、一つの時代の終わりを告げましたが、同時に新たな始まりでもあります。ホテルオークラは、札幌市に新たなホテルを開業させる計画を立てており、今後も札幌のホテル業界に貢献していくことが期待されています。三菱地所のホテル建設計画の延期は残念な出来事ではありますが、今後の札幌の都市開発において、この跡地がどのように活用されていくのか注目されます。ホテルオークラ札幌の思い出と共に、未来の札幌の街並みがどのように変化していくのかを見守りたいものです。

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