ホテルプラザ
ホテルプラザは、かつて大阪市北区に位置した名門ホテルです。朝日放送（ABC）関連会社が運営し、1969年の開業時には、放送業界がホテル事業に進出する象徴として大きな注目を集めました。
ホテルプラザは、1970年の日本万国博覧会を前に開業しました。総工費70億円を投じ、住友銀行頭取であった鈴木剛が初代社長に就任しました。開業の背景には、ホテルを単なる宿泊施設ではなく、情報発信基地として捉える斬新なコンセプトがありました。この理念を具現化するため、タイプライターやコピー機、秘書・通訳サービスを導入し、全600室にカラーテレビを設置。さらにケーブルテレビの送信設備を完備するなど、当時としては画期的な設備を誇りました。
地上23階建てのホテルは、建設当時大阪で最も高い建物であり、隣接する大阪タワーの景観を一部遮る形となりました。しかし、1971年にはBCS賞を受賞するなど、そのデザイン性と建築技術が高く評価されました。
ホテルプラザは、「リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」に加盟し、24時間対応のルームサービスやホテル特製缶詰の販売を日本で初めて実施しました。専属楽団「プラザストリングス」の編成や、日本初のホテルイベント「プラザ・ミステリーツアー」を開催するなど、独創的な企画と高品質なサービスで、日本のホテル業界をリードしました。
「味のプラザ」と称された料理は、特に高い評価を受けていました。23階にはフランス料理「ル・ランデヴー」、カクテルラウンジ「ビスタラウンジ」、バー「サンダウナーバー」があり、4階には欧風料理「ベルベデアー」、中国料理「翠園」、日本料理「花桐」、鉄板焼き「淀」、バー「ブルーベルバー」が軒を連ねました。1階にはメインバー「マルコポーロ バー」、コーヒーショップ「プラザパントリー」、ティーラウンジを配置し、非常に充実した飲食施設を備えていました。その他、4階には日本庭園と夏季限定の屋外プール、地下1階にはショッピングアーケードがありました。
大小15ほどの宴会場があり、22階にはSF作家・小松左京の事務所がありました。1階ロビーには、彫刻家向井良吉の巨大レリーフ「花と女性」が飾られ、大阪駅との間には無料シャトルバスが運行されていました。
全盛期には、1平方メートルあたりの営業収益で業界トップを誇りました。しかし、1990年代に入ると、近隣にホテル阪急インターナショナル、ウェスティンホテル大阪、ザ・リッツ・カールトン大阪などの競合ホテルが開業し、競争が激化しました。ホテルの老朽化、狭いシングルルーム、梅田からの距離などが重なり、有効な対策を打ち出せず、経営環境は悪化していきました。開業から30年後の1999年3月末にホテルは閉鎖され、運営会社も清算されました。
ホテルプラザの料理人たちは、閉鎖後、他のホテルに移籍したり、ホテルがあった福島界隈に新たに店を開業するなど、それぞれの道を歩みました。かつての顧客が口コミで広がり、リピーターも多く獲得しています。中でも「翠園」は、レストラン自体が独立開業を果たし、現在も「味のプラザ」の伝統を守り続けています。
ホテル閉鎖の原因は、建物の老朽化だけでなく、人件費の高さも指摘されています。充実したレストランや24時間ルームサービスを提供していたため、従業員に占める料理人の割合が高く、人件費比率が50%近くに達していました。さらに、淡路島に開業した「ホテルプラザ淡路島」の経営不振や、ABCのデジタル放送対応のための設備投資、社屋の建て替え問題などが重なり、ホテル本体への投資が後手に回ってしまいました。
ホテル閉鎖後、跡地はIDC大塚家具のショールームとして利用されましたが、2010年に閉店。その後、解体されました。ロビーにあったレリーフ「花と女性」は、世田谷美術館に寄贈され、一般公開されています。跡地には、2021年にタワーマンション「グランドメゾン新梅田タワー THE CLUB RESIDENCE」が竣工し、隣接地に大阪北リハビリテーション病院が2023年に開院しました。
ホテルプラザの名称を引き継ぐホテルには、ホテルプラザ淡路島（現ホテルニューアワジ プラザ淡路島）、ホテルプラザ神戸、ホテルプラザ勝川などがあります。これらのホテルは、ホテルプラザの伝統と精神を受け継ぎながら、現在も営業を続けています。
ホテルプラザは、ABCの迎賓館としての役割も担っていました。ABCテレビの長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」では、出場記念品としてディナー付き宿泊券や「味のプラザギフトセット」が贈呈され、全国的な知名度を誇りました。また、「ラブアタック!」では、レストランのディナー券が賞品として提供されていました。ABCラジオの番組企画でディナーショーが開催され、チケットが即日完売したという逸話も残っています。さらに、「パネルクイズ アタック25」では、初代司会者の児玉清がホテルプラザの朝食後にケーキを買ってきたことが、番組スタッフとのケーキを食べる習慣の始まりとなりました。
ホテルプラザは、ABCの番組にも深く関わっており、CMや番組内でその姿を見ることができました。また、ホテルプラザで提供されていたケーキが、イベントで復刻販売されたこともあります。
ホテルプラザは、その斬新なコンセプトと高品質なサービスで、日本のホテル業界に大きな影響を与えました。閉鎖後も、その料理の味は多くの人々に愛され続け、ホテルで働いていた料理人たちは、今もその技術と情熱を伝えています。ホテルプラザは、大阪のホテル史において、決して忘れることのできない存在です。
開業と初期のコンセプト
ホテルプラザは、1970年の日本万国博覧会を前に開業しました。総工費70億円を投じ、住友銀行頭取であった鈴木剛が初代社長に就任しました。開業の背景には、ホテルを単なる宿泊施設ではなく、情報発信基地として捉える斬新なコンセプトがありました。この理念を具現化するため、タイプライターやコピー機、秘書・通訳サービスを導入し、全600室にカラーテレビを設置。さらにケーブルテレビの送信設備を完備するなど、当時としては画期的な設備を誇りました。
地上23階建てのホテルは、建設当時大阪で最も高い建物であり、隣接する大阪タワーの景観を一部遮る形となりました。しかし、1971年にはBCS賞を受賞するなど、そのデザイン性と建築技術が高く評価されました。
サービスと施設
ホテルプラザは、「リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」に加盟し、24時間対応のルームサービスやホテル特製缶詰の販売を日本で初めて実施しました。専属楽団「プラザストリングス」の編成や、日本初のホテルイベント「プラザ・ミステリーツアー」を開催するなど、独創的な企画と高品質なサービスで、日本のホテル業界をリードしました。
「味のプラザ」と称された料理は、特に高い評価を受けていました。23階にはフランス料理「ル・ランデヴー」、カクテルラウンジ「ビスタラウンジ」、バー「サンダウナーバー」があり、4階には欧風料理「ベルベデアー」、中国料理「翠園」、日本料理「花桐」、鉄板焼き「淀」、バー「ブルーベルバー」が軒を連ねました。1階にはメインバー「マルコポーロ バー」、コーヒーショップ「プラザパントリー」、ティーラウンジを配置し、非常に充実した飲食施設を備えていました。その他、4階には日本庭園と夏季限定の屋外プール、地下1階にはショッピングアーケードがありました。
大小15ほどの宴会場があり、22階にはSF作家・小松左京の事務所がありました。1階ロビーには、彫刻家向井良吉の巨大レリーフ「花と女性」が飾られ、大阪駅との間には無料シャトルバスが運行されていました。
衰退と閉鎖
全盛期には、1平方メートルあたりの営業収益で業界トップを誇りました。しかし、1990年代に入ると、近隣にホテル阪急インターナショナル、ウェスティンホテル大阪、ザ・リッツ・カールトン大阪などの競合ホテルが開業し、競争が激化しました。ホテルの老朽化、狭いシングルルーム、梅田からの距離などが重なり、有効な対策を打ち出せず、経営環境は悪化していきました。開業から30年後の1999年3月末にホテルは閉鎖され、運営会社も清算されました。
閉鎖後と「味のプラザ」の継承
ホテルプラザの料理人たちは、閉鎖後、他のホテルに移籍したり、ホテルがあった福島界隈に新たに店を開業するなど、それぞれの道を歩みました。かつての顧客が口コミで広がり、リピーターも多く獲得しています。中でも「翠園」は、レストラン自体が独立開業を果たし、現在も「味のプラザ」の伝統を守り続けています。
閉鎖の背景
ホテル閉鎖の原因は、建物の老朽化だけでなく、人件費の高さも指摘されています。充実したレストランや24時間ルームサービスを提供していたため、従業員に占める料理人の割合が高く、人件費比率が50%近くに達していました。さらに、淡路島に開業した「ホテルプラザ淡路島」の経営不振や、ABCのデジタル放送対応のための設備投資、社屋の建て替え問題などが重なり、ホテル本体への投資が後手に回ってしまいました。
跡地の動向
ホテル閉鎖後、跡地はIDC大塚家具のショールームとして利用されましたが、2010年に閉店。その後、解体されました。ロビーにあったレリーフ「花と女性」は、世田谷美術館に寄贈され、一般公開されています。跡地には、2021年にタワーマンション「グランドメゾン新梅田タワー THE CLUB RESIDENCE」が竣工し、隣接地に大阪北リハビリテーション病院が2023年に開院しました。
関連ホテル
ホテルプラザの名称を引き継ぐホテルには、ホテルプラザ淡路島（現ホテルニューアワジ プラザ淡路島）、ホテルプラザ神戸、ホテルプラザ勝川などがあります。これらのホテルは、ホテルプラザの伝統と精神を受け継ぎながら、現在も営業を続けています。
ABCとの関係
ホテルプラザは、ABCの迎賓館としての役割も担っていました。ABCテレビの長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」では、出場記念品としてディナー付き宿泊券や「味のプラザギフトセット」が贈呈され、全国的な知名度を誇りました。また、「ラブアタック!」では、レストランのディナー券が賞品として提供されていました。ABCラジオの番組企画でディナーショーが開催され、チケットが即日完売したという逸話も残っています。さらに、「パネルクイズ アタック25」では、初代司会者の児玉清がホテルプラザの朝食後にケーキを買ってきたことが、番組スタッフとのケーキを食べる習慣の始まりとなりました。
ホテルプラザは、ABCの番組にも深く関わっており、CMや番組内でその姿を見ることができました。また、ホテルプラザで提供されていたケーキが、イベントで復刻販売されたこともあります。
ホテルプラザの遺産
ホテルプラザは、その斬新なコンセプトと高品質なサービスで、日本のホテル業界に大きな影響を与えました。閉鎖後も、その料理の味は多くの人々に愛され続け、ホテルで働いていた料理人たちは、今もその技術と情熱を伝えています。ホテルプラザは、大阪のホテル史において、決して忘れることのできない存在です。
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