事務

事務とは

事務とは、主に企業や役所などで、書類の作成、整理、管理などを行う業務全般、およびそれを専門とする職種を指します。一般的に、机上での作業が中心となるため、デスクワークとも呼ばれます。しかし、20世紀末以降は、パソコンや情報端末などの操作も事務作業に含まれるようになり、その範囲は拡大しています。事務職は、オフィスで働く労働者（ホワイトカラー）の代表的な職種の一つです。

事務の歴史

事務という言葉は、もともと漠然と仕事全般を指していましたが、明治時代以降に英語の「affairs」や「business」の訳語として用いられるようになりました。産業革命後、事務労働者という概念が生まれ、当初は上流階級出身の知識人が、実業家の経営をサポートする役割を担っていました。彼らは、会計処理や給与計算、取引先との連絡など、実業家の意思を代行する形で業務を遂行していました。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、タイプライターや会計機などの事務機械が普及すると、事務職は、経営に参画する管理職と、軽度な事務処理を行う一般事務職へと分化しました。20世紀末には、コンピュータの導入が進み、オペレーターやプログラマーも事務職として扱われるようになりました。

事務の多様な側面

事務は、書類作成や整理だけでなく、他の業務との関わりも深く、多岐にわたる役割を担っています。例えば、営業職をサポートする営業事務、医療機関での医療事務、人事や総務に関わる事務、経理を担当する事務などがあります。また、工場では、従業員の給与計算や福利厚生の手続きなども事務職の仕事です。企業の規模が大きくなると、対外的な折衝を行う営業担当者（ビジネスマン）をサポートする事務も重要になります。

近年では、インターネット環境の整備により、テレワークやフリーランスといった働き方も普及し、場所にとらわれない事務作業が可能になりました。

事務の関連業務

事務は、他の業務と複合的に行われることも多く、その種類は多岐にわたります。以下に代表的な例を挙げます。

営業事務: 営業活動をサポートする事務。
医療事務: 医療機関で患者の受付や会計、診療報酬請求などを行う事務。
総務: 人事、労務、福利厚生など、企業全体の管理業務を行う事務。
経理: 会計処理、伝票処理など、お金に関する事務。
* 介護事務: 介護施設で介護報酬請求や事務処理を行う。

これらの事務職は、それぞれ専門的な知識やスキルを必要とするため、専門性を高めるための資格取得を推奨する企業もあります。

事務所について

事務を行う場所は、一般的に「事務所」と呼ばれます。事務所は、事業所の一種であり、オフィスとも呼ばれます。法律用語としての「事務所」は、商人や事業者以外の者が使用する拠点を指すことが多いですが、一般的には、事業者の事業拠点として広く使われます。例えば、芸能事務所、法律事務所、建築事務所などがあります。士業と呼ばれる弁護士、税理士、会計士などもそれぞれ事務所を構え業務を行います。

まとめ

事務は、社会を支える重要な仕事であり、その形態は時代とともに変化してきました。単純な書類作成から、高度なコンピュータ操作まで、幅広い業務を担う事務職は、これからも社会に不可欠な存在であり続けるでしょう。

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