ホモエリオジクチオール

ホモエリオジクチオール

ホモエリオジクチオール（Homoeriodictyol）は、アメリカ合衆国に自生するイエルバサンタ（Eriodictyon californicum）という植物から得られるフラバノンに分類される化学物質です。この物質は、人間の味覚に影響を与える味覚修飾物質として知られています。化学的な名称としては、3`-メトキシ-4`,5,7-トリヒドロキシフラバノンとも呼ばれることがありますが、一般的にはホモエリオジクチオールの名称で扱われます。

発見と概要

ホモエリオジクチオールは、シムライズ社に所属する研究者たちによって、イエルバサンタ植物の抽出物の中から同定されました。彼らはこの植物から、味覚を修飾する性質を持つ4種類の物質を特定しました。ホモエリオジクチオールも、その4つの物質のうちの一つです。他の3つの物質としては、ホモエリオジクチオールのナトリウム塩、エリオジクチオール、そしてステルビンがあります。

味覚修飾作用

これらイエルバサンタ由来の4種類の物質は、いずれも一時的に味覚を変える働きを持っています。具体的には、ヒトが感じる苦味を和らげる効果（苦味遮蔽効果）があることが確認されています。

特に注目されるホモエリオジクチオールナトリウム塩

4つの物質の中でも、ホモエリオジクチオールのナトリウム塩は最も強力な苦味遮蔽効果を示すことが明らかになっています。このナトリウム塩は、サリシン、アマロゲンチン、アセトアミノフェン、キニーネといった様々な種類の苦味物質に対して、元の苦味を約10%から40%程度軽減させる効果が見られました。ただし、全ての苦味に対して有効なわけではなく、例えばリノール酸を含む乳濁液の苦味に対しては、目立った遮蔽効果は確認されていません。それでも、シムライズ社の研究者たちは、ホモエリオジクチオールのナトリウム塩が、その有効性から食品や医薬品の分野において、苦味を改善するための用途が期待できる味覚修飾物質であると評価しています。

関連する味覚修飾物質

ホモエリオジクチオールやエリオジクチオールなどの分子構造を研究する過程で、これらの物質と関連する2,4-ジヒドロキシベンゼン酸バニリルアミドという化合物にも苦味を抑える効果があることが見出されました。このバニリン誘導体は、0.1 g/Lの濃度で存在する場合、0.5 g/Lの濃度のカフェイン水溶液が持つ苦味を約30%減少させることが実験で確認されています。

このように、ホモエリオジクチオールとその関連物質は、特に苦味のマスキングという点で食品や医薬品の味質改善に貢献する可能性を持つ興味深い化合物群です。

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出典

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