ホルエムヘブ

ホルエムヘブの治世

ホルエムヘブ（Horemheb）は、紀元前1323年から紀元前1295年の期間、エジプトの第18王朝最後のファラオとして君臨しました。彼の名前は「ホルス神は歓喜する」という意味です。

経歴の始まり

ホルエムヘブは、アメンホテプ3世の時代から王家に仕えていた優れた軍人であり、ツタンカーメンの時代には将軍として活躍していました。王としての彼の即位は、高齢だったファラオ・アイが死去した後のことです。アイは自身の後継者として軍司令官のナクトミンを指名していましたが、ホルエムヘブはナクトミンを排除し、政権を握りました。

彼は王女ムトネジュメトと結婚したことにより、王朝の連続性を保持し、自らの権力基盤を強化しました。

アメン神官団の統制

即位後のホルエムヘブは、軍人出身の者を神官に任命し、アメン神官団の権力を抑えることでファラオとしての権威を再築しました。これにより、王権は強化され、国家の安定を図ることができました。また、彼は自らをアメンホテプ3世の後継者として位置づけ、アクエンアテン以降の四代の王の存在を抹消し、それに伴いそれらの王の業績を自己のものとして取り込もうとしました。アクエンアテンに対する評判が良くなかったため、彼の施策に対して批判が少なかったのも一因でしょう。

政治的改革とコネクション

ホルエムヘブが特に注目されたのは、アマルナ時代以前の旧体制の復帰を目指した点です。腐敗の進んでいた政治・官僚・軍隊に対し、彼は信任した軍司令官パ・ラメス（後のラムセス1世）の助けを借りて改革を進め、厳格な統治を行いました。この改革は彼の統治を支持する民衆から高く評価されました。

後継者問題と治世の終焉

ホルエムヘブは即位した際、すでに高齢であり子供に恵まれなかったため、彼の死後は遺言によりパ・ラメスが次のファラオに選ばれました。ホルエムヘブの治世は、28年間続いたとも言われていますが、その年数はラムセス2世の治世下での紀録に基づいており、詳細な検証は困難です。また近年の研究では、彼の実際の治世は約14年であったとされる説が注目されています。

埋葬とその影響

ホルエムヘブは王家の谷のKV57に埋葬されたものの、彼の墓は盗掘され、壁画の一部が破壊されたり、最奥の玄室が暴かれるなどしました。このことは、彼の治世の終焉を象徴する出来事でもあります。

関連項目

• - エジプト第18王朝の家系図
• - エジプト人 (小説) - 主要人物としての登場

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