ホロヴィッツとの対話

『ホロヴィッツとの対話』は、劇作家・演出家の三谷幸喜が手がけた舞台作品です。2013年2月9日から3月10日までパルコ劇場で上演されました。本作は、三谷幸喜の海外芸術家シリーズの3作目にあたり、『コンフィダント・絆』（2007年）、『国民の映画』（2011年）に続く作品です。

物語は、主人公であるピアノ調律師フランツ・モアと、彼が長年支えてきた天才ピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツとのある一夜の会話を中心に展開します。登場人物はモア夫妻とホロヴィッツ夫妻の4人のみで、限られた空間で繰り広げられる濃密な人間ドラマが見どころです。

この作品では、俳優の渡辺謙が28年ぶりにパルコ劇場の舞台に立ったことでも話題になりました。一方、女優の和久井映見にとっては、本作が初の舞台出演となりました。このように、実力派俳優たちが集結し、三谷幸喜の緻密な演出によって、観客を物語の世界へと引き込んでいます。

あらすじ

ある日、ピアニストの巨匠ホロヴィッツが、突然モアの家で夕食をしたいと言い出します。世界的な音楽家を自宅に招くことになったモア夫妻は、その準備にてんやわんや。しかし、気まぐれなホロヴィッツは、出発直前になって「行きたくない」と駄々をこね始めたり、モア家に着いてからも妻のワンダと共に、その気まぐれな性格を発揮し、モア夫妻を大いに困らせます。モア夫妻は、ホロヴィッツ夫妻の気まぐれな行動に振り回されながらも、彼らとの交流を深めていくことになります。

登場人物

フランツ・モア：渡辺謙
スタインウェイ・アンド・サンズ専属のピアノ調律師。20世紀の偉大なピアニストたちの演奏を、裏方として長年支え続けてきました。その卓越した技術と人柄で、多くの音楽家から信頼を得ています。
ウラディミール・ホロヴィッツ：段田安則
20世紀を代表するピアニストの一人。その圧倒的な演奏技術と独特の音楽解釈で、世界中の聴衆を魅了しました。気難しく、気まぐれな性格の持ち主でもあります。
エリザベス・モア：和久井映見
フランツ・モアの妻。夫を献身的に支え、家庭を切り盛りしています。突然のホロヴィッツの訪問にも、慌てながらも丁寧に対応しようとします。
ワンダ・ホロヴィッツ：高泉淳子
ウラディミール・ホロヴィッツの妻。夫の才能を理解し、支え続けています。時に夫のわがままに手を焼きながらも、愛情を持って接しています。

舞台『ホロヴィッツとの対話』は、著名な芸術家たちの人間模様を、ユーモアを交えながらも、深く掘り下げて描いた作品です。観客は、モア夫妻とホロヴィッツ夫妻の会話を通して、芸術家の孤独や苦悩、そして人間としての温かさに触れることができるでしょう。三谷幸喜ならではの巧みな会話劇と、俳優たちの熱演が光る舞台です。

外部リンク

パルコ・プロデュース公演『ホロヴィッツとの対話』

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