ホロ島

ホロ島は、フィリピン南東部のスールー諸島の中央に位置する火山島です。この島は、複数の火口を持つ火山性の地形が特徴で、特に1897年の大噴火で知られるダホ山（標高685m）が有名です。総面積は861平方キロメートルで、約30万人が暮らしています。

島はスールー州に属しており、州都であるホロが最大の都市です。ホロの人口は8万人を超え、島全体の約3分の1がこの街に集中しています。ホロ島には、タウスグ人、バジャウ人、バンギギ人といった民族が居住しており、彼らは農業、漁業、海上交易を主な生業としています。特にバジャウ人は、「海の民」として知られ、ボルネオ島周辺を漂流する生活を送っていたことで有名です。

かつてホロの町は、イスラム教のスルタン国であるスールー王国の首都として栄え、東南アジアの海上交易の中心地として重要な役割を果たしました。しかし、米比戦争後には「モロの反乱」と呼ばれる紛争が起こり、多くの地元住民がアメリカ軍によって虐殺されるという悲劇も経験しました。また、太平洋戦争中には、日本軍とモロ人ゲリラの間で激しい戦闘が繰り広げられました。

近年では、2005年にフィリピン軍とアブ・サヤフ・グループとの間で大規模な衝突が発生し、1万人以上が避難を余儀なくされました。アブ・サヤフはホロ島を主要な拠点の一つとしており、この地域はしばしば無法地帯と化しています。周辺海域では海賊行為が頻発しており、フィリピン政府はホロ島周辺が「新たなソマリア」になる危険性を指摘しています。この島の歴史は、交易の拠点としての繁栄と、紛争、虐殺、無法状態という複雑な側面を併せ持っています。

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