ホワイトサポテ

ホワイトサポテ（シロサポテ）について

ホワイトサポテは、ミカン科のカシミロア属に属する常緑高木であり、その果実も指します。原産地はメキシコの高地から中央アメリカにかけて広がり、亜熱帯性の果樹として知られています。この果実は、外見的には流通している柿に似ており、一般的には完熟した際の色合いは緑色から薄い黄色で、赤くはならないのが特徴です。果実内部には、通常5個の比較的大きな種が含まれています。

果肉はバンレイシ科の果物に似ており、クリーム状の柔らかい質感を持ち、非常に甘いですが、品種によっては苦味を伴うこともあります。ホワイトサポテの葉は羽状複葉で、品種によっては葉の形が観葉植物として人気のパキラに似ることがあります。また、果実の概観や食感もバンレイシ科のものと酷似していますが、植物の系統は異なります。

栽培と国内での利用

日本におけるホワイトサポテの栽培が本格的に始まったのは1980年代のことで、和歌山県の果樹園芸試験場で約40品種が研究されました。しかし、その後の研究が終了したため、現在はこの試験場での栽培は行われていません。日本国内では沖縄、鹿児島、和歌山などの地域で商業的に栽培されている品種がいくつかありますが、完熟果実は日持ちが悪いため流通量は限られています。そのため、実生苗を育てる際には先祖帰りのリスクや品質の低下を考慮し、通常は取り木や接木技術を用いて繁殖が行われます。

ホワイトサポテを日本で栽培する場合、果樹は晩秋から早春にかけて花芽形成を行うため、亜熱帯以外の地域での栽培では冬季の落葉を防ぐための保温対策が必要不可欠です。成木は氷点下に耐えられますが、5度以下での強風に当たると落葉する可能性があります。また、幼木は霜に当たると枯れる恐れがあるため、注意が必要です。理想的な栽培地は最低気温が－2度程度まで耐えられる場所であり、風による影響が少ない位置が望ましいです。

薬用成分とその利用

ホワイトサポテの葉、樹皮、種子からは抽出物が得られ、メキシコでは長年にわたり鎮静剤や精神安定剤として用いられてきました。また、コスタリカでは葉を煎じたものが糖尿病治療薬として利用されていますが、その具体的な作用には科学的な裏付けが存在していないとされています。公式な医療行為としては、医師や薬剤師による使用は見られませんが、以下のような成分が報告されています：

• - edulitin
• - edulein
• - edulinine
• - casimiroin
• - ザポチンおよびその類似物質

特にザポチンには、結腸癌由来細胞株に対する発育阻害作用やマウスにおける皮膚腫瘍形成の抑制作用が報告されており、子宮頸癌関連細胞株に対しては、PKCεに依存した抑制効果が確認されています。

品種

ホワイトサポテは一般的に自家受粉が可能ですが、特定の品種には花粉が存在しないものもあります。そのため、受粉作業を行うために花粉のある樹と混植が必要な場合もあります。主な品種としては、バーノン、クシオ、グエン、スーベールが挙げられます。

ホワイトサポテの特異な果実や栽培方法に関心がある方は、さらなる情報を求め、研究や栽培に挑戦してみることも面白い経験となるでしょう。

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