バンレイシ

バンレイシ (Annona squamosa) について

バンレイシは、バンレイシ科バンレイシ属に分類される植物で、その果実も同じ名前で呼ばれます。多数の果実が集まってできた集合果が特徴で、その形が釈迦の頭に似ていることから「釈迦頭（シャカトウ）」とも呼ばれています。また、英語名から「シュガーアップル」や「スウィートソップ」とも呼ばれることもあります。

特徴

バンレイシは半落葉性の小高木で、高さは3～8メートルほどになります。乾季には葉を落とします。枝は不規則に広がり、若い枝には毛が生えています。葉は楕円形から披針形で、表面は濃い緑色、裏面は若い葉には軟毛がありますが、後に無毛になります。

花は葉の付け根や葉に対生して咲き、単独で咲くか、2～4個が束になって咲きます。萼片は3枚で、緑色で毛が生えており、すぐに落ちます。花弁は外側と内側にそれぞれ3枚ずつあり、外側の花弁は厚く、黄緑色で、基部が紫色になることがあります。内側の花弁は小さく、鱗状か、または欠落しています。雄しべは多数あり、黄白色です。雌しべは多数が離れており、暗紫色をしています。

果実は球形から卵形で、直径は5～20センチメートルほどです。果実の表面は多角形の区画に分かれており、熟すと緑色から黄緑色に変化します。果肉は白く柔らかく、多くの黒い種子を含んでいます。

分布と生態

原産地は中央アメリカの低地と考えられています。先史時代に人間によって他の地域に移入され、現在では世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培されています。乾燥した環境を好み、乾季には落葉することで乾燥に耐えます。若い木は日陰を好みますが、成長すると日光を好みます。

開花は雌性先熟で、熱帯地域では午後3時頃から開花し、翌日の午前2時頃には受粉能力を失い、花粉を放出します。

人間との関わり

栽培

バンレイシは、バンレイシ属の中でも最も広く栽培されている種の一つです。高温を必要としますが、乾燥には強く、乾燥後に雨が降ると開花数が増える傾向があります。

種子や挿し木、接ぎ木によって増殖します。種子の発芽率は高く、植え付け後2～4年で実をつけ始めます。収穫量は1本の木あたり年平均40～75個程度です。収穫期は地域によって異なり、台湾では7月から3月、インドでは8月から11月、タイや米国フロリダ州では7月から10月です。完熟前に収穫し、追熟させてから食べます。

病害虫

病害虫としては、炭疽病、ならたけ病、青枯病、黒斑病、Phomopsis、果実腐敗病、さび病、キクイムシ、コバチ、ガ、カメムシ、ミバエ、カイガラムシ、ハダニなどが知られています。

品種

多くの品種があり、果実が赤紫色になる品種もあります。また、バンレイシとチェリモヤの交雑種であるアテモヤも広く栽培されています。

食用

バンレイシの果実は古くから食用として利用されており、特に台湾、フィリピン、タイ、インド、西インド諸島などで重要な果物となっています。生食のほか、シャーベット、アイスクリーム、清涼飲料、発酵飲料などにも利用されます。パイナップルとバナナを合わせたような甘い味が特徴です。果肉には多数の種子が含まれており、種子には毒性があるため、取り除いて食べる必要があります。

果肉は白く、クリーム状で、ジャリジャリとした食感があります。この食感は、果肉に石細胞が多く含まれているためです。英語名の「sugar apple」はこの食感に由来しています。

長期保存や輸送が難しいため、基本的に産地周辺で消費されます。日本では生のバンレイシの輸入は許可されていませんが、台湾では急速冷凍技術が実用化され、日本への輸出も開始されています。

その他の利用

種子、葉、樹皮、根には毒性のあるアルカロイドやアセトゲニンが含まれており、民間薬や駆虫剤として利用されることがあります。また、樹皮は製紙に使われることもあります。

名称

英語では、シュガーアップル、スウィートソップ、カスタードアップルなどと呼ばれます。中国語では、蕃荔枝、釋迦、佛頭果などと呼ばれます。その他の言語でも様々な名前で呼ばれています。

ギャラリー

（画像は省略）

脚注

（注釈、出典、参考文献は省略）

関連事項

バンレイシ属には、トゲバンレイシ（サワーソップ）、チェリモヤ、アテモヤ、ギュウシンリ（狭義のカスタードアップル）などがあります。

外部リンク

（外部リンクは省略）

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