ホワイトニング

ホワイトニングとは

ホワイトニング（英: whitening）とは、文字通り「白くする」行為全般を指す言葉です。この用語は美容分野で広く用いられ、化粧品においては肌の美白を、そして歯科の分野では歯の色を明るくすることを意味します。

歯科におけるホワイトニング

歯科におけるホワイトニングは、審美歯科の一分野として位置づけられています。広義には、歯の色や見た目を白く、または明るく見せるためのさまざまな処置を総称します。これには、専門家による歯の徹底的なクリーニング（PMTC）に始まり、後述するブリーチング（歯牙漂白）、歯の表面に白い樹脂を塗るマニキュア、欠けた部分などを白い材料で修復するダイレクトボンディング、歯の表面に薄いセラミックを貼り付けるラミネートベニヤ、そして歯全体を白いセラミックの被せ物で覆うセラミッククラウンなどが含まれます。

一方で、狭義、そして一般的に「ホワイトニング」という言葉で指されることが多いのは、薬剤を用いて歯自体の色を明るくするブリーチング、すなわち「歯牙漂白」のことです。

ブリーチングの仕組み

歯の色は、表面のエナメル質や内部の象牙質に存在する有機質の色素沈着によって決まります。ブリーチングは、主に過酸化水素や過酸化尿素といった過酸化物を使用します。これらの薬剤が分解される際に発生するヒドロキシラジカルやヒドロペルオキシラジカルなどのフリーラジカルが、歯の着色原因である有機質の二重結合部分を効果的に切断し、分子構造を細かく（低分子化）します。この過程を経て、色素が「無色化」されることで、歯の明度が上がり、全体として白く見えるようになります。

ホワイトニングの種類

歯のブリーチングにはいくつかの方法があります。

オフィスホワイトニング: 歯科医院内で歯科医師や歯科衛生士が行う方法です。比較的濃度の高い過酸化水素製剤（15-40%）を使用し、薬剤の効果を促進するためにハロゲンライト、プラズマアークライト、レーザー、LEDなどの特殊な光を照射することが一般的です。短時間で効果を実感しやすいのが特徴です。
ホームホワイトニング: 歯科医師の指導のもと、患者さん自身が自宅で行う方法です。歯科医院で作成した専用のマウストレーに、比較的低濃度の過酸化尿素製剤（5-38%）などを注入し、毎日一定時間装着することで徐々に歯を白くしていきます。効果が出るまでに時間はかかりますが、色戻りしにくい傾向があります。
アシステッドホワイトニング: オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせて行う方法です。より高い効果を目指したり、効果の持続性を高めたりするために選択されます。
ウォーキングブリーチ: 神経を取り除いた歯（失活歯）に対して行われるホワイトニングです。歯の中に直接薬剤を填入し、数日から数週間かけて歯を内側から白くしていきます。

歯のホワイトニングに使用される過酸化物を含む薬剤は、日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律（薬機法）において「医療機器」と定義されています。そのため、これらの薬剤を許可された歯科医院以外の施設が販売することは禁じられています。

無資格・無免許での施術について

近年、美容室やエステティックサロンなど、歯科医師免許を持たない事業者が「ホワイトニングサービス」を提供しているケースが見受けられます。これらの施設では、薬機法で使用が制限されている過酸化物を使用することができないため、ポリリン酸など、比較的規制が緩やかな薬剤が使用されることがあると言われています。しかし、これらの場所で使用される薬剤の品質や効果、安全性については保証されておらず、歯科の専門学会では推奨していません。

医薬品として扱われるホワイトニング剤を扱ったり、医療機器とされる特定の光照射器を用いたりする行為は、法的に医療行為とみなされます。したがって、歯科医師の資格を持たない者がこれらの行為を行うことは、医師法、歯科医師法、および薬機法に違反する犯罪行為となります。

また、「セルフホワイトニング」と称して、無免許の事業者が施術の場所と薬剤（多くの場合、効果の弱いものや安全性が不明なもの）を提供し、利用者が自分自身で薬剤を塗布して光を当てる形式のサービスもあります。しかし、このようなサービスでは、使用される薬剤の内容が不明確であったり、本来歯科医師や歯科衛生士が行うべき薬剤の管理や安全管理が適切に行われていないため、利用者の口の中に思わぬ健康被害を引き起こす危険性が指摘されています。

安全かつ効果的に歯を白くするためには、歯科医師による診断を受け、適切な方法で施術を受けることが最も重要です。

関連する専門職には、歯科医師、歯科衛生士、そしてホワイトニングに関する専門知識を持つホワイトニングコーディネーターなどがいます。

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