ホワイト・ノイズ (バンド)

ホワイト・ノイズ (White Noise)

ホワイト・ノイズは、1968年にロンドンで結成されたイギリスの実験的な電子音楽バンドです。物理学と電子工学の知識を持つクラシック・ベース奏者のデヴィッド・ヴォーハウスが、BBCレディオフォニック・ワークショップの音響科学者、デリア・ダービーシャーの講演に参加したことがきっかけで結成されました。ヴォーハウスは、ダービーシャーとブライアン・ホジソン（彼らは以前電子音楽プロジェクト「ユニット・デルタ・プラス」のメンバーでした）と合流し、バンドを結成しました。

略歴

アルバム『エレクトリック・ストーム』

1969年6月、ホワイト・ノイズはアイランド・レコードから画期的なアルバム『エレクトリック・ストーム』をリリースしました。このアルバムは、様々なテープ操作技術を駆使し、当時初のイギリス製シンセサイザーであったEMS Synthi VCS3を使用して制作されました。

特筆すべき点として、アルバムのオープニング・トラック「Love Without Sound」では、ヴァイオリンとチェロの音を出すために、ヴォーハウスが演奏するダブルベースのテープ速度を変化させる編集技術が用いられています。

当初、アイランド・レコードにおいて商業的な成功を収めたとは言えませんでしたが、今日では電子音楽史において非常に重要かつ影響力のあるアルバムとして評価されています。ザ・オーブやジュリアン・コープのような現代アーティストに影響を与え、Broadcast、Add N to (X)、Secret Chiefs 3といったバンドの現代的なライブ演奏にも影響を与えています。スペースメン3のピーター・ケンバーは、2004年に彼がキュレーションを担当したコンピレーション・アルバム『Spacelines』に、ホワイト・ノイズの楽曲「Firebird」を収録しました。

アルバム『ホワイト・ノイズII』以降

デリア・ダービーシャーとブライアン・ホジソンが他のプロジェクトを追求するために脱退した後、ヴォーハウスは1974年にヴァージン・レコードからセカンド・アルバム『ホワイト・ノイズII (White Noise 2 - Concerto for Synthesizer)』をリリースしました。このアルバムは、北ロンドンのカムデンにある彼のスタジオで録音されました。このアルバムでは、EMS VCS 3とプロトタイプのシーケンサーがさらに活用されています。

3枚目のアルバム『White Noise 3 - Re-Entry』は、1980年にパルス・レコードからリリースされました。このアルバムは1曲で構成されており、「スペース・ファンタジー」のようにも感じられます。

その後、サンプリングを組み込み、広がりのあるような大気のようなアルバム『White Noise 4 - Inferno』（AMPミュージック、1990年）と、ヴォーハウスが「ダーク・アンビエント」と呼んだ実験作『White Noise 5 - Sound Mind』（AMPミュージック、2000年）がリリースされました。

ヴォーハウスは「このカテゴリ（ダークアンビエント）は、私の好きだったカントリーやウエスタンといった他のジャンルに再定義できないものであり、その上で再定義できるほどの十分な幅広さがあると感じました。実験の余地がたくさんあるのです。『Dark Matter』という1曲においては、認識できるものはすべて排除して何もありません。調和も、ピッチも、リズムもありません。暗くて星すら見えません」と語っています。

ホワイト・ノイズは現在、デヴィッド・ヴォーハウスとマイク・ペインターのデュオとして、イギリスおよび他のヨーロッパ諸国で定期的に演奏活動を行っています。

メンバー

現在のメンバー

デヴィッド・ヴォーハウス (David Vorhaus) - エフェクト (1968年–現在)
マイク・ペインター (Mike Painter) - エレクトロニクス (2011年–現在)

旧メンバー

デリア・ダービーシャー (Delia Derbyshire) - エレクトロニクス (1968年–1969年)
ブライアン・ホジソン (Brian Hodgson) - エレクトロニクス (1968年–1969年)
ポール・リットン (Paul Lytton) - パーカッション (1968年–1969年)
ジョン・ホイットマン (John Whitman) - ボーカル (1968年–1969年)
アニー・バード (Annie Bird) - ボーカル (1968年–1969年)
ヴァル・ショウ (Val Shaw) - ボーカル (1968年–1969年)
マーク・ジェンキンス (Mark Jenkins) - エレクトロニクス (2005年–2011年)

ディスコグラフィ

アルバム

『エレクトリック・ストーム』 - An Electric Storm (1969年)
『ホワイト・ノイズII』 - White Noise 2 - Concerto for Synthesizer (1974年)
White Noise 3 - Re-Entry (1980年)
White Noise 4 - Inferno (1990年)
White Noise 5 - Sound Mind (2000年)
* White Noise 5.5 - White Label (2006年)

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