ホワット・ユー・アー・ドゥーイング

ホワット・ユー・アー・ドゥーイング：ビートルズの隠れた名曲

1964年、世界中を熱狂の渦に巻き込んだビートルズのワールドツアー終了直後、ポール・マッカートニーはアトランティックシティで新たな楽曲「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」を創作しました。レノン＝マッカートニー名義ながら、主にポールの手によるこの曲は、アルバム『ビートルズ・フォー・セール』(イギリス盤)に収録され、後にアメリカ盤『ビートルズVI』にも収録、日本ではシングル『ミスター・ムーンライト』のB面としてもリリースされました。

曲の構成と特徴

この曲は、4小節の力強いドラムソロから幕を開けます。続くギター・シークエンスは、各ヴァースでオスティナート技法を用いており、楽曲全体に独特の統一感と躍動感を与えています。そして、数秒間のベースソロで静かに幕を閉じます。特に注目すべきは、ジョージ・ハリスンがリッケンバッカー360/12で奏でるギターリフです。このサウンドは、後にバーズに影響を与え、ジョージ自身もバーズの影響を受けた楽曲「恋をするなら」を制作するなど、音楽史に小さな足跡を残しました。

ポール・マッカートニー自身は、「穴埋めの曲」と表現しており、レコーディングによって楽曲が完成していく過程を物語っています。当初の構想と最終的な仕上がりには違いがあったものの、レコーディングを重ねることで、楽曲の持つ魅力が最大限に引き出されたと言えるでしょう。

レコーディング

レコーディングは1964年9月29日に開始されました。リズムトラックは7テイク録音され、テイク7が採用されました。翌日は別の楽曲のレコーディングを行い、その後更に5テイクを録音し、最終的にテイク11が選ばれました。伝記作家マーク・ルイソンによると、初期段階ではコーラス間のブレイクが緩く、ミドルエイトがボーカルよりも1オクターブ高く演奏され、コーダの前に一時停止があったそうです。10月26日にはリメイクを行い、アルバム『ビートルズ・フォー・セール』の収録楽曲として完成しました。これは、同アルバムの最後の仕上げとなった楽曲です。

様々なバージョンとカバー

2006年のアルバム『LOVE』では、「ドライヴ・マイ・カー」や「愛のことば」とのメドレーとして収録されています。このメドレーでは、「ドライヴ・マイ・カー」における女性の要望に対する男性の返答として機能しており、興味深い解釈が加えられています。なお、「ドライヴ・マイ・カー」と「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」は同じビートを使用しています。

また、アメリカのシンガーソングライター、ジェームズ・ハズバンドは2009年のアルバム『A Parallax I』でこの曲をカバーしています。

参加メンバー

ポール・マッカートニー：リードボーカル、ベース
ジョン・レノン：ハーモニーボーカル、アコースティックギター
ジョージ・ハリスン：ハーモニーボーカル、12弦ギター
リンゴ・スター：ドラム
* ジョージ・マーティン：ピアノ

結論

「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」は、ビートルズのアルバムに収録された数多くの楽曲の中でも、その制作過程や音楽的影響、そして後のアルバムでの新たな解釈など、様々な側面から興味深い一曲です。比較的知名度は低いものの、ビートルズの音楽的深みを感じられる、隠れた名曲と言えるでしょう。楽曲の持つ魅力を再発見し、その背景にある物語に思いを馳せることで、より深くビートルズの音楽世界を楽しむことができるはずです。

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