ホンダ・クラリティ フューエル セル

クラリティ フューエル セル (CLARITY FUEL CELL)

ホンダが開発したクラリティ フューエル セルは、量産型の燃料電池自動車で、日本や北米市場で一定期間販売されていました。具体的には、日本においては2016年から2021年にかけて製造・販売が行われていました。さらに、同車種にはプラグインハイブリッドモデルの「クラリティPHEV」と、エレクトリックモデルの「クラリティ エレクトリック」も存在し、これらも合わせて言及します。

開発背景と登場

ホンダは1980年代後半から燃料電池車（FCV）の研究開発に取り組み始め、2002年には「FCX」を発表。その後、2008年には「FCXクラリティ」をリースし、さまざまなデータを収集してきました。これらの経験を背景に、ホンダ初の量産型FCVとしてクラリティ フューエル セルが登場しました。特筆すべきは、高密度のFCスタック技術を駆使し、セル出力を従来の1.5倍に引き上げ、サイズを大幅に縮小した点です。

具体的には、セルの厚みを20%、数を30%削減し、全体で33%の小型化を実現しました。この技術革新により、車両のボンネット内に燃料電池を搭載することが可能になり、大人5人が快適に乗れる空間を提供することに成功しました。

2015年の東京モーターショーでは、この新たなFCVが発表され、2016年3月10日に日本国内での販売が開始されました。一回の水素充填によって750kmの航続距離を実現し、70MPaという高圧水素タンクを採用したことで、トヨタ・MIRAIと共通化が図られ、水素ステーションの普及に寄与しています。

モデルの改良や販売状況

2019年12月には一部改良が施された2020年モデルがアメリカ市場で発表され、特に寒冷時のシステム起動性能や車両接近通報装置が改善されました。これは安全性やユーザーの利便性を高めるための重要な変更です。

クラリティ PHEV

2017年4月のニューヨーク国際オートショーでは、クラリティ フューエル セルと同時に、プラグインハイブリッド版「クラリティ PHEV」も発表されました。日本では2018年夏に新モデルの導入が発表され、7月19日から販売が開始されました。

このPHEVモデルは、燃料電池とは異なり、2モーターハイブリッドシステムを利用しており、バッテリーを搭載しています。EV走行距離は114.6kmを実現し、ハイブリッド燃費はJC08モードで28.0km/L、WLTCモードで24.2km/Lという数値を示しています。

クラリティ エレクトリック

また、同じくニューヨーク国際オートショーで発表された「クラリティ エレクトリック」は、純電動版として提供され、2017年8月からカリフォルニア州やオレゴン州でリース販売が始まりました。


dこれは、同一プラットフォームでFCV、PHEV、そしてBEVという3つの電動パワートレインを持つ車種として業界初の試みでもありました。

総括

クラリティシリーズは、燃料電池の可能性を広げると共に、代替エネルギー車両の普及にも寄与しました。しかし、2021年には日本市場向けの生産が終了し、実質的に同社は日本でのFCV生産から撤退する形となりました。クラリティシリーズは、その画期的な技術とデザインにおいて、ホンダの電動化への挑戦を象徴する存在だったと言えるでしょう。

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