ホンダ・ザッツ

ザッツ（That's）

本田技研工業が製造した「ザッツ」は、トールワゴン型の軽自動車で、特徴的なデザインとユニークな魅力を持っています。このモデルは、3代目ライフのプラットフォームを基にしており、外観デザインにおいて「角の丸い直方体」という独特のスタイルが取り入れられました。2001年の東京モーターショーで「w・i・c」として参考出品されたことを経て、2002年2月7日に正式に発表されました。

特徴的なデザインと内装

ザッツのデザインは、その発売当初から注目を集めました。カラフルな前後バンパーなどを組み合わせる「ポップカラー・コンポーネント」仕様が設定されており、若者やファミリー層にアピールしていました。また、内装デザインにも工夫が施され、車名のタグがシートに取り付けられるなど、趣味性のある要素が強調されています。これによりより個性的な印象を与え、人気を博しました。

機能と性能

ザッツは、3代目ライフと共通のE07Z型エンジン（NA・ターボ）を搭載し、トランスミッションは3速オートマチックのみでした。これにより、運転のしやすさを追求した設計がされています。エンジンは水冷直列3気筒で、656ccの排気量を持ち、最高出力は52PS（38kW）、最大トルクは61N·m（6.2kgf·m）を発揮します。ターボ仕様では、最大出力は64PS（47kW）、最大トルクは93N·m（9.5kgf·m）に達します。

市場での位置づけと販売経歴

発売当初は、同クラスのライフと共に人気を集めていましたが、個性的なデザインと3速ATトランスミッションの組み合わせは他の競合車に対抗する上で難しい要素となりました。次第に存在感が薄れていき、特に販売面での苦戦を強いられる結果になりました。2004年に仕様変更が行われた際、「ポップカラー・コンポーネント」が廃止されたことも大きな影響を与えました。ターボモデルは2006年に設定が廃止され、その後の販売は厳しい状況が続きました。

車名の由来

「ザッツ」の名称は、英語の「That is」を短縮した形です。この名前には、「親しみやすさや存在感を感じてもらいたい」という意味が込められており、ドライバーにとって特別な存在の車になれるよう願いが込められています。ただし、英語としては「That's」単体では文脈が成立しにくい部分があるため、一種の遊び心も感じられます。

終焉と後継車

ザッツは2007年に生産を終了し、10月にはカタログラインナップから削除され、11月には販売が完全に終了しました。後継車にはホンダ・ゼストがあり、同じく軽自動車市場での活躍を続けています。ザッツのユニークなデザインと特徴には今でも多くの愛着を持つファンが存在し、ホンダの軽自動車の歴史において重要な位置を占めています。こんなユニークな存在を生み出したホンダ技研工業の先進的なデザイン思想は、今後の車両開発にも影響を与え続けることでしょう。

もう一度検索