ホンダ・スペイシー

ホンダ・スペイシーシリーズ：4ストロークスクーターのパイオニア

ホンダが1982年から2008年にかけて製造・販売したオートバイシリーズ「スペイシー」は、同社初の4ストロークエンジン搭載スクーターとして知られています。1980年に発売された2ストロークエンジンのタクトが大ヒットしたことを受けて、経済性や静粛性、耐久性を求める声に応える形で開発されました。当時、日本国内で4ストロークエンジン搭載スクーターは1963年のジュノオ以来、実に19年ぶりでした。

スペイシーのモデルバリエーション

スペイシーシリーズは、排気量別に複数のモデルが展開されました。それぞれのモデルの特徴を以下に詳しく見ていきましょう。

スペイシー50 (AF02)

1982年5月に発売されたスペイシー50は、49ccの4ストローク単気筒エンジンを搭載した原付スクーターです。5.0ps/9,000rpmの最高出力と、30km/h定地走行で110km/Lという燃費性能を実現しました。当時としては珍しい自動遠心クラッチ式3速フルオートマチックトランスミッションを採用し、セルとキックの併用始動方式でした。デザインは近未来的で直線基調。ボディ一体型のキー付きフロントトランクは、12インチLPレコードが収納できるという特徴がありました。デラックスとカスタムの2グレードが用意されましたが、1984年にはマイナーチェンジでグレードが統合され、無段変速機に変更、デジタルメーターがアナログメーターに変更されるなど、改良が施されました。1986年に生産終了。

スペイシー80 (HF02/HF03)

スペイシー50をベースに、排気量を76ccに拡大したモデルが1982年10月に登場しました。最高出力は6.5ps/7,500rpm。2人乗りも可能でした。スペイシー50カスタムと同様のデザインや液晶メーターを採用しつつ、タイヤサイズを拡大。1985年には79ccのHF03E型エンジンに換装され、マイナーチェンジが行われました。日本国内向けは1986年に生産終了しましたが、海外向けは「Elite80」として2009年頃まで販売されました。

スペイシー100 (BC-JF13)

2003年9月に発売されたスペイシー100は、中国の五羊-本田摩托(広州)有限公司が製造し、ホンダが輸入販売しました。リード100の後継モデルとして位置づけられ、102ccのエンジンを搭載。最高出力は7.1ps/7,500rpmでした。アンダーボーンフレームを採用し、前後輪連動ブレーキシステム「コンビブレーキ」を装備。2008年9月に、排出ガス規制への対応が難しくなったことから生産終了となり、リードにモデルチェンジしました。

スペイシー125

スペイシー125は、3世代にわたって生産されました。

初代(JF02):

1983年3月発売。世界初の自動収納式リトラクタブルヘッドライトを搭載したモデルとして注目を集めました。124ccの水冷エンジンを搭載し、最高出力は11.0ps/7,500rpm。1985年にはマイナーチェンジを行い、液晶メーターがアナログメーターに変更されるなど改良が施されました。「Elite125」として海外でも販売されました。

2代目(JF03):

1987年2月発売。リトラクタブルヘッドライトを廃止し、固定式に変更。外装デザインも曲線基調のエアロフォルムに変更されました。エンジンはJF03E型に変更され、燃費性能が向上しました。1993年にはヘッドライト常時点灯義務化に対応したマイナーチェンジが行われました。

3代目(JF04):

1995年8月発売。冷却方式を水冷から空冷に変更、フロントブレーキをドラムブレーキからディスクブレーキに変更するなど大幅な改良が行われました。メットインスペースも装備されました。2000年、2002年、2005年にマイナーチェンジを実施。2008年9月に生産終了しました。

スペイシー250フリーウェイ

(このモデルに関する情報は、入力データに含まれていませんでした。)

スペイシーシリーズの遺産

スペイシーシリーズは、ホンダの4ストロークスクーター技術の進化を象徴するモデル群です。それぞれのモデルが時代のニーズや技術革新を反映しており、ホンダのスクーター開発史において重要な役割を果たしました。経済性と実用性を両立させたデザインと性能は、多くのユーザーに支持され、日本のスクーター文化に貢献しました。その後のホンダのスクーター開発にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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