ホンダ・トゥデイ (スクーター)

ホンダ トゥデイ：低価格と気軽さを両立したスクーターの軌跡

ホンダが2002年から2015年まで製造・販売していたスクーター「トゥデイ」は、その低価格と扱いやすさで高い人気を博しました。中国・新大洲本田摩托有限公司での生産、ホンダによる輸入販売という体制で展開され、特に中国からの輸出台数は150万台を超えるなど、大きな成功を収めたモデルです。しかしながら、その歴史には、数々のリコールや改善対策も影を落としています。

開発背景と初代モデル（BA-AF61型）

1997年、ホンダは2002年までに全バイクを4ストロークエンジン化すると発表しました。これにより、従来の2ストロークエンジン搭載スクーターは生産終了となり、その代替として「気軽に乗れる」「手軽に買える」「親しみやすい」をコンセプトにトゥデイが開発されました。

初代モデルであるBA-AF61型は、新設計の49cc単気筒4ストロークエンジンを搭載。アンダーボーンフレームとステップスルー構造を採用し、扱いやすさを追求しています。2002年8月発売。10種類のカラーバリエーションと消費税抜9万4800円の低価格、年間販売目標10万台という戦略で市場に投入されました。そして、2003年6月には販売目標を達成、ヒット商品となりました。

発売後も、新色の追加やロゴマークの変更などのマイナーチェンジを繰り返し行いました。2006年には高級感を高めた「トゥデイ・デラックス」も登場しました。

2代目モデル（JBH-AF67型）とその後

2007年8月には、平成18年排出ガス規制に対応したフルモデルチェンジを行い、JBH-AF67型が発売されました。PGM-FI電子燃料噴射装置や触媒コンバーター付きマフラーの採用、デザインの変更、メーターパネルへの燃料計追加など、改良が施されました。価格は消費税抜12万8000円に上昇しましたが、それでも同クラスの競合車より低価格に抑えられていました。

2代目も、限定車「トゥデイ・スペシャル」やスポーティな「トゥデイ・F」など、バリエーションを増やしつつ、マイナーチェンジを繰り返しました。エンジン変更やメーター類の改良、カラーバリエーションの変更などが行われています。

しかし、販売台数は年々減少していき、2015年1月に事実上の後継モデルである「タクト」が発売されたことを受けて、同年8月に生産終了となりました。

中国市場での展開

トゥデイは、中国の新大洲本田摩托有限公司で生産されました。日本市場向けに開発されましたが、2004年には中国国内でも販売が開始され、オーストラリア、メキシコ、スペイン、トルコなど、世界各国へ輸出されました。中国への輸出台数は、2002年12月には月間1万台を突破するなど、大きな成功を収めました。

トゥデイの中国での生産は、ホンダと新大洲控股股份有限公司の合併会社設立合意直後から開始され、日本での販売価格を既存車の半値にすることを目標としていました。初代トゥデイ(AF61型)はREN50シリーズの初代モデルであり、「ディオ」や「ジョルノ」といった姉妹車との部品共有化も図られました。

問題点

トゥデイは低価格で人気を博しましたが、一方で、スピードメーターやブレーキ、スイッチ類などに関するリコールや改善対策が非常に多く実施されました。これらは、販売台数の多さと関係していると考えられます。

まとめ

ホンダトゥデイは、低価格と扱いやすさで多くのユーザーに支持されたモデルでしたが、その歴史にはリコール問題という影も存在しました。中国との合弁による生産体制や、世界各国への輸出は、ホンダのグローバル戦略における重要な事例として、今後も研究されるべきでしょう。 トゥデイは、日本のバイク市場の歴史において、一つの重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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