ホンダ・250T

ホンダ250T：1980年代を彩ったアメリカンバイク

ホンダが1981年から1984年にかけて製造・販売していた250ccのアメリカンタイプオートバイ、250T。型式名MC06として、個性豊かな3つのモデルがライダーを魅了しました。CD125Tのエンジンをベースに排気量アップを図った233ccの空冷4ストロークSOHC2気筒エンジンを搭載。扱いやすい車体と、頼もしい走りを両立した一台と言えるでしょう。燃料供給にはVB16型キャブレター1基を採用し、シンプルながらも確実な動力性能を実現していました。

3つの個性：マスター、LAカスタム、マスターS・D

250Tシリーズは大きく分けて3つのモデルで構成されていました。まずは1981年11月13日にデビューした「マスター」と「LAカスタム」。

マスターは、スポークホイールとドラムブレーキを組み合わせたモデルで、主に輸出仕様として販売されました。シンプルな構成ながら、250Tシリーズの原点と言える存在感を持っています。

対して「LAカスタム」は、1984年4月6日に登場。マスターをベースに、スタイリッシュなブーメランコムスターホイールへの変更、制動力の向上を図る前輪ディスクブレーキの採用、そして利便性を高めるリヤキャリアの標準装備など、大幅な改良が施されました。さらに、ヘッドランプにはハロゲンバルブを採用し、夜間の視認性も向上しています。

そして1982年9月1日発売の「マスターS・D」。マスターをベースに、駆動系をコグドベルト式ドライブに変更した点が最大の特徴です。メンテナンスの簡素化を図り、ライダーの負担を軽減。車名に含まれる「S・D」は、ベルトカバーに表記されていた「SILENT-DRIVE（サイレントドライブ）」の略称です。リヤキャリアも標準装備となり、使い勝手の良さが魅力でした。

海を渡った250Tと、レブルへの継承

250Tは、CM250Cという名称で海外にも輸出されました。グローバルな人気を博し、世界中のライダーにその魅力を伝えたと言えるでしょう。

1985年には、後継モデルとなる「レブル」が登場。250Tで培われた技術やデザイン思想が受け継がれ、新たな魅力を纏って進化を遂げています。250Tは、レブルへと続くホンダアメリカンモデルの歴史において、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

姉妹車との関係性

250Tは、ホンダ・CD250Uと基本コンポーネントを共有する姉妹車という関係性も持っています。CD250Uとは異なる車体デザインや走行特性を持つものの、技術的な基盤を共有している点が興味深い点です。それぞれのモデルが、異なる魅力を追求していたことがわかります。

まとめ：時代を超えて愛される一台

ホンダ250Tは、1980年代のモーターサイクルシーンを彩った魅力的なアメリカンバイクでした。3つの個性的なモデル、海外輸出、そして後継モデルへのバトンタッチ。その歴史は、ホンダの技術力とデザインセンスの高さを示す、貴重な証と言えるでしょう。シンプルながらも洗練されたデザイン、扱いやすい車体、そして頼もしいエンジン。250Tは、現代においても多くのライダーを魅了し続ける、時代を超えた名車です。

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