ホンダ・CB125T

ホンダ・CB125T：半世紀にわたる進化と歴史

ホンダが1964年から2003年にかけて製造・販売した125ccクラスのオートバイ、CB125T。その歴史は、CBシリーズの源流であるベンリィスーパースポーツCB92にまで遡ります。本記事では、CB125Tの誕生から生産終了までの道のりを、モデルごとの特徴や改良点、派生車種、国内外の評価などを交えて詳細に解説します。

誕生から初期モデル：CB93と進化

CB125Tの始まりは、1964年に登場したCB92からのフルモデルチェンジと言えるでしょう。初期モデルにあたるCB125（通称CB93）は、パイプフレームを採用し、ツインキャブ、4速リターン式ミッション、12V電装など、当時の最新技術を搭載していました。15ps/10,500rpmという出力は、同クラスにおいて注目すべきものでした。初期モデルはフロントサスペンションに鉄ボトム、後期にはアルミボトムが採用されるなど、細かな改良が加えられました。

1967年にはモデルチェンジを行い、CB125K1が登場。メタリックカラーや大型ウインカー、丸型バックミラーなど、デザインも洗練されました。エンジンはCD125系ベースに変更され、カムチェーンがサイドに配置された他、軽量化による車重の軽減も大きなポイントでした。このモデルチェンジでは電装系が6Vに変更、フロントドラムブレーキも小径化されました。

その後、1968年と1969年にはマイナーチェンジが繰り返され、5速化、タコメーター標準装備、フレーム形状変更、ブレーキランプの改良など、機能性と性能が向上していきました。特に1969年モデル（CB125K3）では、クレードルタイプのフレーム、直立型のシリンダーなど、メカニズムの抜本的な変更が加えられ、より信頼性の高いモデルとなりました。

1970年代：進化と多様化

1971年と1972年にはK5、K6モデルが登場。タンク形状の変更、メーターのセパレート化、ディスクブレーキ搭載モデル（CB125JX）の追加など、ユーザーニーズに対応した改良が進みました。1972年モデルからは、5角形の燃料タンクを採用し、スタイリッシュさが増しています。

1977年には、CB125T-Iがフルモデルチェンジで登場。このモデルからは、CB750FやCB400Nに通じるような、タンクからサイドカバーへと流れるデザインが採用され、より現代的なスタイルとなりました。カムチェーンの配置変更、クランクシャフトの改良などが行われ、最高出力は16psへと向上しています。

1978年にはコムスターホイール装着モデルが登場し、スポークホイールモデルと併売されました。1979年にはマイナーチェンジで中低速域の出力特性が向上され、セミフラットハンドルモデルもオプションとして追加されました。

1980年代以降：さらなる性能向上と教習車への展開

1982年モデルでは、JC06型式へと変更。エンジン特性の大幅な見直し、プロリンク式リヤサスペンションの採用、デュアルピストンキャリパーのディスクブレーキ、アルミ製コムスターホイール、12V電装化など、大幅な進化を遂げました。

その後もマイナーチェンジを繰り返し、キャブレター、ホイール、カラーリング、ヘッドライトなどが改良され、性能・デザインともに洗練されていきました。1990年代には、常時点灯式ヘッドライトへの変更や、平成11年排出ガス規制への適合などが行われました。教習車仕様も製造され、多くの自動車教習所で活躍しました。

2003年には、加速騒音規制強化に対応できず、日本国内仕様の生産は終了しました。しかし、海外では生産が継続され、その後も教習車としての需要も継続しました。2015年には、中国で生産された教習車仕様モデルが日本市場に再導入されています。

派生車種：CLシリーズと排気量アップモデル

CB125Tをベースとした派生車種も数多く存在します。オフロード走行も可能なスクランブラータイプのCL125、排気量を拡大したCB135、CL135、CB160、CB175、CL175、SL175など、多様なニーズに対応したバリエーションが展開されました。これらのモデルは、CB125Tの基本コンポーネントを共有しつつ、それぞれの用途に合わせたチューニングが施されています。輸出向けモデルとして、CB200やCL200も存在しました。

国内外の評価

日本国内では、上位クラスのモデルとデザインを共有する傾向があり、CB250、CB400FOUR、CB400N、CB750Fなどとの共通性が見られます。特に1970年代前半はプロダクションレースで活躍しましたが、2ストロークエンジンの台頭により次第にレースシーンから遠ざかり、通勤などの実用性も求められるようになりました。

海外では北米やヨーロッパを中心に輸出され、人気を博しました。特に1982年モデル以降のプロリンクサスペンション搭載モデルは、イギリスやフランスなどで高く評価されました。生産終了後も、アジア諸国を中心に需要があり、中国で生産が続けられていました。

まとめ：レジェンドとしてのCB125T

CB125Tは、長きに渡り愛され続けたホンダの代表的なモデルです。その歴史は、技術革新と市場ニーズへの対応を繰り返しながら、常に進化を続けてきました。生産終了から年月が経っても、その存在感は高く、多くのファンに愛され続ける、真のレジェンドと言えるでしょう。様々なモデルチェンジを経て、技術の進歩、時代の変化を反映しながら、半世紀以上に渡って走り続けたCB125T。その歴史は、日本のオートバイ史において重要な一ページを刻んでいます。

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