ホンダ・CB750

ホンダ CB750：名車としての歴史と魅力

1992年から2008年まで、本田技研工業によって製造・販売されたオートバイ、CB750。750ccクラスのロードスポーツモデルとして、長きにわたって多くのライダーに愛されてきました。本記事では、CB750の歴史、特徴、そして教習車仕様など、多様な側面について掘り下げて解説します。

開発背景とデザイン

1980年代後半、日本の大型自動二輪車市場では、カワサキ ゼファー750のようなネイキッドタイプが人気を集めていました。一方、ホンダはCBX750やVFR750シリーズといったカウル付きモデルを主力としており、ネイキッドタイプの空白を埋める必要がありました。

そこでホンダは、北米向け輸出仕様のネイキッドモデル「ナイトホーク750」をベースに、日本の保安基準に適合させた限定車（750台）を1991年に発売。その成功を踏まえ、CBシリーズへの回帰を意図したモデルとしてCB750が開発されました。CB750は、CBX750シリーズを継承したデザインと、扱いやすさを両立したモデルとして登場しました。

エンジンと性能

CB750の心臓部には、ナイトホーク750と同じRC17E型空冷4ストロークDOHC4気筒エンジンを搭載。75ps/8,500rpmの最高出力と6.5kg-m/7,500rpmの最大トルクを発生させ、力強い走りを提供しました。

潤滑方式はウエットサンプ式、燃料供給はケーヒン製VE型キャブレター4基を使用。トランスミッションは5速マニュアルで、低速域から高速域までスムーズな走りを実現していました。ただし、ニュートラルから1速へのシフトチェンジ時に独特の「ガコン」という音が発生するのも特徴の一つでした。

車体と足回り

フレームはダブルクレードル式を採用。堅牢な構造で、安定した走行性能を提供しました。ホイールサイズは150/70ZR17とやや細身だったため、軽快なハンドリングを実現しています。

教習車仕様

1996年の運転免許制度改正により、大型自動二輪車の教習が解禁されると、CB750はその扱いやすさから教習車としても採用されました。教習車仕様は、一般向けモデルとは異なるいくつかの特徴を持っています。

ハンドル: アップタイプのハンドルに変更され、教習生にとってより楽な姿勢で運転できるように配慮されています。
ガード類: エンジンガードとマフラーガードを標準装備することで、転倒時のダメージを軽減。
走行状況表示ランプ: 4灯または10灯のランプにより、速度、ギアポジション、ブレーキ作動状況などを教官に表示。
その他: オイルクーラーの電動ファン、油圧クラッチ、強化リヤブレーキキャリパーなど、教習用途に最適化された機構を搭載していました。

継続的な改良と生産終了

発売後、CB750は数度のマイナーチェンジを受けました。車体色の変更、装備の追加、エンジン性能の微調整などが行われ、時代のニーズに対応した改良が重ねられました。しかし、2007年の排出ガス規制強化に対応することが難しくなり、2008年8月に生産終了となりました。

まとめ

ホンダCB750は、信頼性の高いエンジン、扱いやすい車体、そして教習車としての貢献など、様々な点で高く評価されてきました。日本のバイク史に名を刻む名車として、その存在感は今でも色褪せていません。後継モデルであるCB1100や教習車用NC750Lも、CB750の系譜を受け継いでいます。 CB750は、その時代を彩った名車として、多くのライダーの記憶に刻まれています。

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