ホンダ・CBR400RR

ホンダ CBR400RR：レーサーレプリカの系譜

ホンダCBR400RRは、1987年から2000年にかけて製造された、ホンダが誇るCBRシリーズの400ccロードスポーツモデルです。そのシャープなデザインと高い走行性能で、多くのライダーを魅了しました。本記事では、CBR400RRの系譜をたどり、その魅力を深く掘り下げていきます。

NC23型：レーサーレプリカへの進化

1987年に登場したNC23型は、先行モデルであるCBR400Rをベースに、フルカウルを採用したレーサーレプリカへと大胆に進化を遂げました。59psの最高出力を誇る水冷4ストロークDOHC並列4気筒エンジンは、当時の自主規制値の最高値に達していました。

主な変更点

車体: フルカバードフェアリングからレーサーレプリカタイプのフルカウルに変更。
エンジン: シリンダーヘッドの設計変更、圧縮比の向上、ダイレクト式バルブ駆動、大径バルブの採用、アルミニウム製マフラーの採用、水冷式オイルクーラーの搭載などにより、最大トルクの向上を実現しました。
足回り: 41mm径テレスコピックフロントフォーク（円筒空気ばね廃止）、市販車初となるトラス構造のトライアーム式リアサスペンション、ラジアルタイヤの採用、フローティング化された前輪ダブルディスクブレーキなど、走行性能の大幅な向上が図られています。
その他: タンデムシート下のユーティリティボックスの追加、車体重量の軽量化などが行われました。

NC23型は、1988年1月から2000年まで販売され、製造期間中に幾度かのマイナーチェンジが行われました。初期モデルと後期モデルでは、カウリングのデザインやウイングマーク、バックミラー、ヘッドライトカバーなどが異なっていました。特に、1988年の全日本ロードレース選手権TT-F3クラスに投入されたRCB400を模したモデルは、コレクターアイテムとしても人気です。

NC29型：高次元ヒューマンフィッティングの追求

1990年には、NC23型をベースにフルモデルチェンジされたNC29型が登場しました。開発キーワードは「高次元ヒューマンフィッティング」。NC23型からの改良点は多岐に渡ります。

主な変更点

車体: アルミツインチューブダイヤモンド型フレームから、低重心構造のアルミニウム製バックボーン型フレームに変更。カウル形状の変更や慣性マスの集中化も図られました。
エンジン: シリンダーとアッパーケースの一体化、クランクシャフトの配置変更によるケースカバーの小型化、軽量化、3方向分配式ダイレクトエアインテーク、小径化されたストレートインテークマニホールド、レゾネーター付きエアクリーナー、新型キャブレターの採用、軽量ピストンの採用、PGMイグニションの採用、ハイギアード化された6速ミッション、大径化したエキゾーストマニホールドなど、エンジン性能の向上と軽量化が図られています。
足回り: リアサスペンションにキャステックガルアームを採用。キャスター角、トレール量、ホイールベースの変更、軽量なU字型6本スポークアルミホイールを採用。後輪を17インチ化しました。
その他: 小型軽量化されたバッテリーの採用、ユーティリティボックス容量の増量などが行われました。

NC29型は、1990年の発売以降、1992年と1993年にマイナーチェンジを受けました。1993年のマイナーチェンジでは、最高出力の自主規制値変更に伴うエンジン仕様の変更、フロントサスペンションの改良、ヘッドライトスイッチの廃止などが行われました。

CBR400RRの遺産

CBR400RRは、2000年に生産終了となりましたが、その優れたデザインと高い走行性能は、多くのライダーに大きな影響を与えました。そのレーサーレプリカとしてのスタイルと、ホンダの技術力の高さを象徴するモデルとして、現在でも高い人気を誇っています。様々な改良を経て進化を遂げたCBR400RRの歴史は、オートバイ史に燦然と輝く一頁と言えるでしょう。

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