ホンダ・CX

ホンダCXシリーズ：水冷V型2気筒エンジンの魅力と多様なモデルバリエーション

ホンダCXは、1970～80年代に製造販売されていたオートバイシリーズです。水冷4ストロークV型2気筒エンジンを搭載したモデルが中心で、その独特のエンジン特性とスタイリッシュなデザインで人気を博しました。本記事では、CXシリーズの様々なモデル、搭載エンジン、そして輸出仕様車について詳しく解説します。

エンジンとモデル概要

CXシリーズの心臓部となったのは、水冷4ストロークV型2気筒4バルブOHVエンジンです。初期モデルは496ccでしたが、その後396cc、673ccへと排気量を増やし、さらにはターボチャージャー搭載モデルも登場しました。これにより、ロードスポーツタイプからアメリカンタイプまで、幅広いモデルラインナップが展開されました。

日本国内では、「WING」のペットネームを冠したGLシリーズと統合される形で販売されました。一方、海外では「GOLD WING」シリーズの一部として、排気量999ccの水平対向4気筒エンジンを搭載したモデルが1974年から輸出されていました。

日本国内仕様モデル

CX-EURO

ロードスポーツタイプのCX-EURO（NC06）は、1982年発表。GL400からのフルモデルチェンジ車として、20L燃料タンク、角型ハロゲンヘッドランプ、ハーフフェアリングを装備。足回りには、ブーメランタイプのホイール、シングルディスク後輪ブレーキ、TRAC（ブレーキトルク応答型アンチダイブ機構）付きフロントサスペンション、プロリンク式リアサスペンションを採用するなど、大幅な改良が施されました。

CX-CUSTOM

アメリカンタイプのCX-CUSTOM（NC10）は、1983年発表。GL400カスタムからのフルモデルチェンジ車です。シングルディスクフロントブレーキ、星型アルミキャストホイール、12L燃料タンク、ケーヒン製キャブレターなどを採用し、出力も向上しました。スタイリングも変更され、よりアメリカンスタイルを強調したデザインとなりました。

海外向け輸出仕様モデル

CXシリーズは、日本国内だけでなく世界各国へ輸出されました。日本国内仕様のGLシリーズに相当するモデルの他、北米市場向けには大型フェアリングやサイドパニアケースを標準装備した「SILVER WING」シリーズも存在しました。

CX500/650 E

CX-EUROの輸出仕様に相当するモデル。ヨーロッパやオーストラリア、カナダなどで販売されました。1982年モデルが500cc、1983年モデルが650ccです。

CX650 CUSTOM

CX-CUSTOMの輸出仕様に相当するモデル。1983年モデルのみ輸出されました。

ターボチャージャー搭載モデル：CX500 TURBO/CX650 TURBO

CXシリーズの革新的なモデルとして、ターボチャージャー搭載モデルがあります。IHI（石川島播磨重工業）が開発した当時世界最小量産型ターボチャージャーを搭載し、日本のオートバイメーカーとしては初めてターボチャージャーを搭載したモデルとなりました。

低燃費化を目指した開発でしたが、高出力化に注目が集まり、当初は日本国内での型式認可は得られませんでした。そのため、北米と西ドイツ向けに輸出専用モデルとして販売されました。

CX500 TURBO（498cc）とCX650 TURBO（673cc）は、電子式燃料噴射装置（PGM-FI）、強化された5速マニュアルトランスミッション、前後ディスクブレーキなど、パワフルなエンジンに対応した改良が施されました。大型カウルやTURBOデカールも特徴的です。

まとめ

ホンダCXシリーズは、水冷V型2気筒エンジンの魅力と、多様なモデルバリエーション、そしてターボチャージャー搭載モデルなど、革新的な技術が盛り込まれたシリーズでした。1970～80年代のオートバイ史において重要な位置を占めるモデルであり、現在でも多くのファンを魅了し続けています。それぞれのモデルが持つ個性、そして技術的な特徴を理解することで、CXシリーズの魅力をより深く知ることができます。 本記事が、CXシリーズへの理解を深める一助となれば幸いです。

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