ホンダ・RS

ホンダRSシリーズ：ロードレース史に輝く伝説のマシンたち

ホンダRSシリーズは、本田技研工業が製造販売した、ロードレース競技専用車両です。125cc、250cc、500ccクラスにモデルが存在し、世界選手権で数々の栄光を掴んだ、伝説的なレーシングマシンとして知られています。本稿では、各モデルの詳細、開発の歴史、そしてその活躍を振り返ります。

ホンダRS125R：125ccクラスの支配者

RS125Rは、HRC（ホンダレーシングコーポレーション）が開発した2ストローク124cc単気筒エンジンを搭載したレース専用マシンです。1987年以降は、他量産車とは別に浜松製作所で製造されました。1987年の[[ロードレース世界選手権]]125ccクラスに本格復帰を果たしたホンダにとって、初の2ストロークマシンでの参戦であり、1988年にはエツィオ・ジャノーラ選手が初優勝を飾りました。

その後、RS125Rは、ロリス・カピロッシ、青木治親といった名だたるライダーを乗せ、世界チャンピオンを9人も輩出するなど、125ccクラスを長年に渡り席巻しました。しかし、2004年には車体、2005年にはエンジンのキットパーツ開発が終了。ライバルメーカーであるアプリリアとの性能差が拡大し、2009年にはグランプリにフル参戦するライダーはほとんどいなくなりました。2012年、125ccクラスがMoto3クラスにリニューアルされ、2ストロークエンジンが使用できなくなったことから、RS125Rの後継車種としてNSF250Rが登場しています。

RS125Rの進化

RS125Rは、1984年の4型から始まり、年を追うごとに進化を遂げました。1987年にはアルミニウム合金ボックスフレームを採用するなど、大幅なフルモデルチェンジを実施。1995年には、エンジン、車体とも大幅に改良されたフルモデルチェンジを行い、振動抑制のためのバランスシャフトも採用されました。また、レギュレーション変更に合わせて無鉛ガソリンに対応するモデルも発売されています。

ホンダRS125R-W：市販ロードレーサー

RS125R-Wは、ホンダRSC（レーシングスポーツクラブ）/HRC製の市販ロードレーサーです。1980年に、空冷エンジンのMT125Rの後継として、CR125Rの水冷エンジンを搭載して登場しました。1983年型のRS125R-W IIIは、フレームの高剛性化のためにスイングアーム・ピボットのエンジンマウントをやめ、スイングアームを角型スチール製とするなどの改良が加えられました。

ホンダRS250R：250ccクラスでの挑戦

RS250Rは、2ストローク249ccV型2気筒エンジンを搭載したレース専用マシンです。ロードレース世界選手権GP250クラスなどで活躍しました。RS250RWは、有力エントラントに供給されたスペシャルモデルで、フレディ・スペンサー選手が1985年に世界チャンピオンを獲得するなど、大きな成功を収めました。その後、2002年にNSR250がレースから引退した後も、RS250RWは2009年まで投入されました。最終年度には青山博一選手がチャンピオンを獲得し、その歴史に幕を閉じました。

RS250Rの技術革新

RS250Rもまた、年々改良が加えられてきました。1986年には排気デバイスATACを装備。1988年にはクランクシャフトやポートの設計変更によって、ワークスマシンNSR250に迫る性能を実現しました。1993年には、NSR250のフルモデルチェンジに合わせ、エンジンバンク角を変更するなど、大幅な改良が行われました。

ホンダRS500R：500ccクラスへの挑戦とプライベーターの活躍

RS500Rは、HRC製の市販ロードレーサーで、1983年に発売されました。前年に発表されたワークスマシンNS500の量産モデルであり、多くの部品に共通性がありました。498.6ccの2サイクル水冷V型3気筒エンジンを搭載したRS500Rは、高額な価格にもかかわらず、その高いパフォーマンスとセッティングの自由度から、多くのライダーに支持されました。

多くのプライベーターチームが、RS500Rを駆り、世界GPで上位入賞を果たしました。特に、1988年にはテクニカルスポーツ関東の五百部徳雄選手が、全日本ロードレース選手権500ccクラスで優勝を果たすなど、そのポテンシャルの高さを証明しました。RS500Rは、1997年に発売されたNSR500Vにその座を譲るまで、長年にわたりロードレース界を盛り上げました。

RS500RとNS500：ワークスマシンとの違い

RS500RとワークスマシンNS500は、多くの部品に共通性がありましたが、量産化におけるコスト削減のため、いくつかの差異が存在しました。例えば、フレームはどちらもアルミ合金製の手曲げ加工でしたが、NS500では軽量化のためにチタン製やマグネシウム製のボルト、ナット、パーツが使用され、重量に差がありました。エンジンに関しても、シリンダーの取り付け方法や、排気デバイスATACの有無、キャブレターのサイズなどが異なりました。これらにより、RS500RはNS500と比較して、パワー特性やハンドリングに違いがありました。

まとめ

ホンダRSシリーズは、ホンダのロードレースへの情熱と技術力を象徴するマシン群です。それぞれのモデルが、技術革新と、数々のライダーたちの活躍によって、ロードレースの歴史に大きな足跡を残しました。その高いパフォーマンスと、プライベーターを含む多くのライダーへの供給によって、世界中のロードレースシーンを盛り上げた、ホンダのレーシングスピリットが凝縮されたマシン群と言えるでしょう。

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