ホンダ・XL230

ホンダXL230：レトロなデザインと現代の走りを融合したオフロードバイク

ホンダXL230は、2002年4月より販売された、往年のXLシリーズを現代に蘇らせたオートバイです。1970～80年代のオフロードバイクブームを彷彿とさせるレトロなデザインが特徴ですが、単なる復刻モデルではなく、現代のニーズに合わせた改良が施されています。開発コンセプトは『街乗りからトレッキングまで気軽に楽しめるスポーツバイク』。そのコンセプトを体現するかのように、扱いやすいエンジンと車体を実現しています。

エンジン性能：力強い低中速トルクとスムーズな走り

XL230には、排気量223ccの空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。このエンジンは、SL230やFTR223にも搭載されているMD33E型をベースに、XL230のためにチューニングされています。具体的には、キャブレターの変更やセッティングの最適化により、低中速域でのレスポンスが向上。最高出力13kW（18ps）/7,000rpm、最大トルク19N・m（1.9kgf・m）/6,000rpmというスペックを実現しています。スムーズな走りで、街乗りから軽快なオフロード走行まで幅広く対応できる性能を備えています。トランスミッションは5速マニュアルで、滑らかなギアチェンジが可能です。セルスターターも搭載されているため、始動も容易です。

車体設計：扱いやすさとレトロなスタイルの両立

XL230の車体は、オセアニア向け輸出仕様車であるCT200をベースに開発されました。前後キャリアは省略され、よりスタイリッシュな外観に仕上がっています。フレームはFTR223と共通のセミダブルクレードル型を改良したもので、高い剛性と軽量化を実現。サスペンションは、フロントにテレスコピックフォーク、リアにスイングアーム式を採用。リアショックは2本で、快適な乗り心地を提供します。ブレーキは前後ドラムブレーキで、信頼性の高い制動力を確保。タイヤサイズは前後120/90-18で、オンロード、オフロードともにバランスの良い走行性能を発揮します。カラーリングは、ブーンシルバーメタリックにオレンジストライプ、またはファイティングレッドにブラックストライプの2種類が用意されていました。

兄弟車との共通点：コスト削減と開発効率の向上

XL230は、既存モデルの部品を多く流用することで、開発コストと製造コストの削減を実現しています。エンジンやフレーム、一部の足回り部品などは、SL230やFTR223と共通の部品を使用。これにより、生産効率の向上にも貢献しています。しかし、単なる部品の寄せ集めではなく、各部のチューニングやセッティングを最適化することで、XL230独自の乗り味を実現しています。

生産終了：後継モデルへのバトンタッチ

XL230は、2005年にSL230と共にXR230にフルモデルチェンジされ、生産が終了しました。短命に終わったモデルではありますが、レトロなデザインと現代的な走りのバランスがとれた、個性的なモデルとして、多くのライダーに愛された1台と言えるでしょう。現在では生産終了していますが、中古市場で探すことができるかもしれません。その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

もう一度検索