ホンダ・e

Honda e（ホンダ・イー）

Honda eは、本田技研工業が2020年から2024年1月にかけて生産・販売した5ドアハッチバック型の電気自動車です。都市型コミューターを目指したこのモデルは、シンプルで現代的なデザイン、力強くクリーンな走行性能、そして多彩な先進機能を備え、日常生活の中での移動をよりシームレスなものにすることを意図しています。

発表と特徴

Honda eは、2019年3月のジュネーヴ・モーターショーでお披露目された後、同年の東京モーターショーでは日本仕様が参考出品され、2020年10月30日には正式に発売されました。このモデルはホンダ初の量産型フル電動車であり、新しい時代に対応した一台として位置づけられています。特に、後輪駆動システムを採用している点が注目され、ホンダ車としてはS2000以来の後輪駆動車となっています。

Honda eの設計においては、開発責任者の一瀬智史が「ホンダの欧州での存在感を高める」という裏テーマを持ち、単なるCAFE規制の対応に留まらず、ユニークで個性的なクルマとして、ホンダの魅力を再認識させることが目指されています。これに伴い、搭載されるバッテリーは35.5kWhで、航続距離は約300kmとされています。これは、一般家庭で一晩で充電できるサイズを重視した結果の選択であり、長距離移動には不向きですが、セカンドカーとして利用されることを想定しています。

市場および販売実績

Honda eの年間販売目標は、欧州で1万台、日本では1,000台と控えめに設定されています。これはCAFE規制に対応したモデルであり、販売のスタンスは量販を目指すものではありません。具体的な価格帯としては、欧州で300～400万円、日本では約450万円となっています。

年表

Honda eの開発の歴史を振り返ると、2009年には第41回東京モーターショーで「ホンダEV-N」が発表され、2017年にはフランクフルトモーターショーで「Honda Urban EV Concept」が公開されました。このコンセプトモデルから派生した量産モデルが最終的にHonda eとして市場に登場する流れとなりました。

特に、2020年にはレッド・ドット・デザイン賞において自動車部門の「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞するなど、デザイン面での評価も高まっています。また、2021年には「ワールド・カー・アワーズ」の「ワールド・アーバン・カー」を受賞するなど、国際的な評価も得ていることが分かります。

2022年においては、直営の四輪新車オンラインストア「Honda ON」での取り扱いが開始され、サブスクリプションサービスの提供など、新たなビジネスモデルへの展開も見られました。そして、2023年12月には2024年1月末での生産終了が発表され、これまでのHonda eのモデルラインナップは幕を下ろすこととなります。

まとめ

Honda eは、都市生活に最適な電動車両として、シンプルでありながら先進的なデザインと機能を兼ね備え、クリーンでかつ快適な移動体験を提供します。これにより、ホンダのブランド自体も新たな時代に突入していることを象徴しています。

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