ホーク (ミサイル)

ホーク地対空ミサイル

ホーク（英: Homing All the Way Killer, HAWK）は、アメリカのレイセオン社が開発した地対空ミサイルで、アメリカ軍ではMIM-23として知られています。このミサイルは1950年代末に開発が始まり、今でもNATO諸国で使用されています。

開発の背景

ホークの開発は、アメリカ陸軍によって1952年に始まりました。最初はSAM-A-18という名称で呼ばれていましたが、1954年にはノースロップ社がレーダー及び火器管制装置、レイセオン社がミサイルの製造を担当することが決まりました。1956年には試作品XSAM-A-18の初の誘導試射が行われ、1957年には開発が完了しました。その後、1960年に初めて運用部隊が編成されました。

1963年には新たな命名規則が導入され、最終的にXMIM-23Aとして改称されました。続いて、低空目標に対処するための改良が行われ、I-HAWKとして知られるMIM-23Bが1971年に承認され、配備が進みました。

改良と近代化

ホークはその後も改良を重ねています。1964年から始まったHAWK/HIP計画では、レーダーや情報処理装置の更新が行われ、1978年には全ての部隊のミサイルが改良型に更新されました。その後も、HAWK-PIP（Product Improvement Program）という新たな計画が1973年にスタートし、複数の段階で改良が加えられました。

設計と性能

ホークは基本型のMIM-23Aと改良型のMIM-23Bが主な型式として存在します。MIM-23Bでは弾頭重量が45 kgから54 kgに増加し、射程が32 kmから40 kmまで延伸されました。1982年から1984年にはミサイルの信頼性を向上させる方策としてMRR計画が実施され、続けてECCM改善策が行われました。これらの改良により、MIM-23CおよびMIM-23Eが開発され、最大射程が46 kmに拡大されました。

システム構成

ホークは複数のレーダーシステムから構成されています。基本型から改良型まで、パルス捕捉レーダー（PAR）、CW捕捉レーダー（CWAR）、高出力イルミネーター（HPI）、測距レーダー（ROR）の合計4種類のレーダーが使用されています。これらは目標探知や追尾を行うために搭載されており、PIPフェーズIIではHPIの信頼性が高められました。

アメリカの海兵隊は、1991年からAN/TPS-59早期警戒レーダーをホーク部隊に統合して運用を開始し、これによりミサイル防衛能力が向上しました。

海外での運用

ホークミサイルは、1959年にNATO諸国との共同生産の協約が結ばれ、多くの国で運用されています。日本やイスラエルなど、ホークを自国のミサイルと組み合わせたり、改造したりして利用している国もあります。特に、イランではF-14戦闘機に搭載するためにホークを改造し、空対空ミサイルとして使用しています。

日本での運用

日本では、1950年代に入ると防空能力向上のため、ホークの導入が進められました。1964年には初の運用部隊が設立され、以降、陸上自衛隊ではホークが主力防空ミサイルとして活躍しています。1980年代以降、改良型への移行が進められ、最終的には2003年にすべての部隊が改善III型に更新されました。

しかし、2024年度の予算にはホークの廃止も盛り込まれています。これにより、陸上自衛隊では新たな地対空ミサイルである03式中距離地対空誘導弾への置き換えが進む見込みです。

映画やゲームでの登場

ホークはさまざまなメディアに登場しています。映画『FLU 運命の36時間』や、アニメ『沈黙の艦隊』などでその存在が描かれ、軍事的なシーンで使用されることが多いです。

まとめ

ホークミサイルは、開発から現在に至るまで、さまざまな改良と拡張を経て多国籍で運用されています。特に日本における運用は長年にわたり続いており、その防空能力を担っています。今後は新型ミサイルにシフトする動きがあるものの、その歴史と性能は注目に値します。

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