03式中距離地対空誘導弾

03式中距離地対空誘導弾（SAM-4）

概要

03式中距離地対空誘導弾、通称中SAMは、陸上自衛隊が使用する純国産の中距離防空ミサイルシステムです。これは、改良ホークの後継として開発され、三菱電機が主契約者となり、三菱重工業が誘導弾を作成、そして東芝がレーダーを製造しています。日本の航空自衛隊のペトリオットシステムと81式短距離誘導弾の間のギャップを埋めるためにこのミサイルシステムが開発されました。

1983年にホークの後継システムとしての研究が始まり、1995年に国内開発が正式に決定しました。その後、1996年から本格的な開発が始まり、2003年度には制式化されました。中SAMは、陸上自衛隊の高射特科群に優れた機動性と防空能力を提供し、強力な火力を持つことから、国内外の防空演習でも高く評価されています。

特徴

中SAMの特徴には、高い機動展開性と省力化された運用体制があります。対空戦闘指揮装置は73式大型トラックを使用し、射撃管制装置や無線通信装置は高機動車に搭載されています。また、発射装置や運搬装填装置は重装輪回収車を基にした車両で構成されており、力量と機動性を両立しています。

システムの完全自走化により、全てのシステムが一括で車載可能になりました。これにより、展開に必要な土地面積を削減でき、設営が容易になりました。また、従来のホークシステムに比べて、必要な人員を20人に減らすことができ、省力化にも成功しています。

レーダーはアクティブフェーズドアレイ[[レーダー]]を使用しており、100の目標を捕捉し、12の目標を同時に追尾することができます。このレーダーは、目標の捜索、追尾、射撃管制機能を持ち、高度な電子妨害に対する耐性があり、多種多様な脅威に対応できる能力を備えています。ミサイルの発射は、発射筒を兼ねた角型コンテナに収納され、6発ずつ搭載されるため、迅速な発射が可能です。

調達と配備

中SAMの調達は、陸上自衛隊の方針に基づいて行われており、各方面隊での配備が順次進められています。特に、東部および中部方面隊において配備が進み、南西諸島防衛の一環として西部方面隊にも展開される見込みです。これにより、地域防衛の強化が図られています。

また、2010年度からは改善型が開発され、低空目標や高速目標に対する対処能力の向上が期待されています。この改善型では、窒化ガリウム増幅器を使用した補助レーダーが追加され、より高度な防空システムとして機能するよう設計されています。

情報漏洩事件

2006年には、ミサイルに関する資料が北朝鮮に流出した事件が発生しました。これに対し、政府は流出した情報が運用に影響を与えないと説明していますが、セキュリティは常に課題として認識されています。

まとめ

03式中距離地対空誘導弾は、自衛隊の防空能力を飛躍的に高めるシステムです。今後も技術の向上とともに、さらなる能力向上が期待されており、防空ネットワークの一翼を担う重要な役割を果たすでしょう。

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