ホーソン実験
ホーソン実験
ホーソン実験は、1924年から1932年にかけてシカゴ近郊のウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた一連の研究であり、主に労働生産性に対する職場環境の影響を探ることを目的としていました。この研究は「ホーソン研究」とも呼ばれ、労働者の作業能率を向上させるための重要な洞察を提供しました。
概要
当初、ホーソン実験は物理的な作業環境と労働者の作業能率の相関を探ろうとして始まりました。まず、照明条件が作業能率に与える影響を調べる照明実験が実施され、その後はリレー組み立てに関する実験が行われました。この研究にはハーバード大学のエルトン・メイヨーやフリッツ・レスリスバーガーらが加わり、面接調査やバンク配線作業実験も実施されました。
研究の結果、重要な仮説が導かれました。それは、労働者の作業効率は客観的な職場環境に依存するよりも、職場内での人間関係や個々の目標意識が大きく影響するとするものでした。特に、集団内には「能率の論理」に基づく非公式な組織が存在し、そこでの仲間意識や規範が作業能率に関与していることが明らかになりました。従来、経営管理はフレデリック・テイラーによって提唱された科学的管理法が主流でしたが、ホーソン実験を機に人間関係論に重きが置かれるようになりました。
しかし、実験の手法や結果に対しては批判があり、知名度の高さにもかかわらず評価は一定していないのが実情です。
実験の詳細
照明実験
この実験は、工場内の照明が作業能率に与える影響を計測することを目的としました。予想とは裏腹に、照明を明るくしても作業能率は高まった一方で、暗くした場合でも作業能率が向上することが示されました。
リレー組み立て実験
次に行われたリレー組み立て実験では、賃金、休憩時間、軽食、室温・湿度などの条件を変更しながら、6名の女性工員が継電器を組み立てる作業能率を調査しました。条件をどのように変えても、作業能率は徐々に上昇し、以前の労働条件に戻した際にも引き続き能率は上がることが観察されました。
面接調査
この研究では延べ21126人の労働者に対し面接調査が行われました。その結果、労働者の行動は感情と切り離せず、労働意欲が個人の経歴や職場内の人間関係に大きく依存していることが分かりました。客観的な職場環境の影響は比較的少ないことも示されました。
バンク配線作業実験
異なる職種の労働者がグループとしてバンク配線作業に取り組む実験も行われ、この際に以下のことが判明しました。
まとめ
ホーソン実験は、職場環境と人間関係が労働者の生産性に与える影響を示した重要な研究です。その結果は経営管理理論に大きな汚点を残し、以降の研究においても影響を及ぼしました。本実験は、ヒューマン・リレーションズ運動の発展に寄与し、労働環境を考える際に人間的側面がいかに重要であるかを教えてくれました。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。