ボーデン

ボーデン株式会社の歴史と展開

ボーデン株式会社（Borden）は、主に乳製品を中心とした食品および化学製品のブランドで、アメリカ合衆国で創設されました。初期の歴史は1853年に遡り、ゲイル・ボーデン・ジュニアが「牛乳真空蒸発法」というコンデンスミルクの製法を発明したことから始まります。この発明は1856年に特許が取得され、ボーデンが乳業界に足を踏み入れるきっかけとなりました。

ボーデンは最初にコネチカット州で小規模な工場を開設しましたが、試験生産はうまくいかず、経営難に直面しました。しかし、1858年に資金提供を受けて「ニューヨーク・コンデンスミルク社」を設立し、成功に至ります。1875年には牛乳配達事業に参入し、1885年にはアメリカ合衆国初の瓶詰の牛乳を市場に投入するなど、着実に事業を拡大していきました。

1899年には新たに「ボーデン・コンデンスミルク社」を設立し、事業継承。1919年に社名を「ボーデン社」へと変更し、1927年にはニューヨーク証券取引所に上場しました。1968年には「ボーデン・インク」と社名変更し、製品の多様化に対応。特に化学事業へ進出してからは、さまざまな化学原料の製造を手掛け、1973年にはポリ塩化ビニルフィルムで世界シェアの60%を占めるまでに成長しました。

しかし、業績が悪化し、1995年にはコールバーグ・クラビス・ロバーツによって買収され、上場は廃止されました。2005年には、ボーデンケミカルが他の企業と合併し、社名が変更されました。そして2020年にはボーデン・デイリー・カンパニーが債務超過に陥り、連邦倒産法第11章の適用を申請しました。

日本における展開

ボーデンの日本での活動は1970年代に始まりました。1974年に東京証券取引所に上場しましたが、1977年には上場廃止、その後1989年には再度上場を果たしました。ボーデンは食品事業に力を入れ、特にアイスクリームやチーズが人気を博しました。

1971年には明治乳業と提携し、「レディーボーデン」の商標と製造技術を供与したことで、日本市場にプレミアムなアイスクリームを展開しました。しかし、提携の中でのリベートやマージンの高さが問題となり、1990年に提携を解消しました。その後、ボーデンジャパンを設立し独自のマーケティング戦略を試みましたが、競争力を維持できず、1994年には営業を休止しました。

その後、アイスクリーム「レディーボーデン」の製造・販売権はロッテに譲渡され、今でも人気商品として販売されています。日本でのボーデンの展開は、彼らが持つブランド力が大きな要素となっていましたが、市場の競争が厳しい中で多くの課題に直面しました。

現在の状況

現在、ボーデンブランドはモメンティブ・スペシャルティー・ケミカルズが所有しており、アメリカではボーデン・デアリー・カンパニーが乳製品の生産に携わっています。日本ではロッテが「レディーボーデン」の製造販売を行っており、今なお人気を保っています。

ボーデンの歴史は、革新と危機の連続であり、現在に至るまでに多くの変遷を経てきました。乳製品および化学製品に関する彼らの影響力は、今もなお重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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