ホーナス・ワグナー

ジョハネス・ピーター・ワグナー（Honus Wagner）

ジョハネス・ピーター・ワグナーは、1874年にペンシルベニア州で生まれたアメリカのプロ野球選手で、主に遊撃手として知られています。彼は「フライング・ダッチマン」としても知られ、野球史上最高の遊撃手の一人と見なされております。この愛称は、彼がペンシルベニア・ダッチの家系出身であることと、オペラ作曲家リヒャルト・ワーグナーとの名前の類似によるものです。

経歴

初期の人生とマイナーリーグ

ワグナーは、ドイツからアメリカに移住してきた両親の元に生まれ、9人兄弟の中で育ちました。家計を支えるために、12歳で学校を退学し、炭坑で家族と共に働きました。しかし、休憩時間には野球を楽しみながら技術を磨いていきます。彼は1895年、3歳年上の兄バッツと共にマイナーリーグでキャリアをスタートしました。

プロ入りとルイビル・カーネルズ時代

1897年、ワグナーはルイビル・カーネルズからメジャーリーグデビューを果たしました。デビューから2年目の1898年には、彼は本格的にレギュラーとして活躍し、10本塁打と105打点を記録しました。チームが苦戦する中、ワグナーの成績が際立っており、3年目には打率.341を記録し、チームの中心選手へと成長しました。しかし、その後カーネルズはチームが消滅し、彼はピッツバーグ・パイレーツに移籍することになります。

パイレーツ時代の成功

パイレーツに入団した1900年、ワグナーは急速に才能を発揮し、首位打者を獲得。1901年には打点王と盗塁王の2冠を達成し、チームを初のリーグ優勝に導きました。翌年も再び成功を収め、1903年には再度首位打者に輝きましたが、ワールドシリーズではボストン・アメリカンズに敗れます。彼は数年間にわたって打撃成績を向上させる一方で、ナショナルリーグのレジェンドとなっていきました。

彼は1909年のワールドシリーズで、打率.333、6打点、6盗塁を記録し、パイレーツに初の世界一をもたらしました。また、1914年には3000安打を達成し、500盗塁も記録し、史上初の急成長を遂げます。このように、ワグナーは現役を引退するまで、計8回の首位打者や5回の盗塁王の栄冠を手にしました。

引退後の生活

引退後の彼はアルコール依存症に苦しむ時期もあり、パイレーツから打撃コーチとして復帰しました。引退後も優れた指導者として知られ、後に殿堂入りする選手たちの指導に力を入れていました。しかし、自身の飲酒癖は改善されることはなく、その様子を見ていた若手選手たちは複雑な気持ちを抱いていたと言われています。1936年にはアメリカ野球殿堂に名を刻む初代選手の一人となりました。

遺産と逸話

ワグナーのベースボールカードは、オークションで高額取引されることでも知られています。特に1909年に発行されたカードは、流通数が極端に少ないことから、235万ドルという驚異の価格で取引されることもありました。また、彼はその才能から、「ワグナーを抑えるにはどうすればいいか」という問いに対し、「真ん中に投げて、あとは神に祈れ」と言われるほどの選手として名を馳せました。

1955年、ワグナーは81歳でこの世を去りますが、彼の記録と功績は今も語り継がれ、野球界の伝説的存在となっています。彼の背番号『33』は、パイレーツの永久欠番として後世に残されています。

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