ホーム・ガード

ホーム・ガード（Home Guard）

ホーム・ガードは、第二次世界大戦中のイギリスで設立された民兵組織であり、ナチス・ドイツによる本土侵攻に備えるために義勇兵で構成されました。設立当初、17歳から65歳までの男性が対象で、設立当初の呼称は「地域防衛義勇隊（Local Defence Volunteers, LDV）」でした。

沿革

第二次世界大戦が始まるまで、イギリス政府は民兵組織の設置を考えていませんでしたが、西部戦線での戦況が悪化する中、各地で自警団が形成され始めました。1940年5月、政府はこれに応じて地域防衛義勇隊の設置を決定し、陸相アンソニー・イーデンはラジオ演説でこの組織の志願者を募集しました。この放送からわずか24時間以内に25万人が登録し、最終的には総勢150万人以上の志願者が集まりました。

組織名の変更と役割

1940年7月、ウィンストン・チャーチル首相はLDVの名称をホーム・ガードに改名しました。組織に期待されたのは、ドイツ軍が英本土に侵攻した際、正規軍が展開するまでの時間を稼ぐことでした。ホーム・ガードの隊員は不発弾の処理や高射砲の操縦などにも従事し、多くの隊員が戦死しました。活動は1944年12月まで続き、1945年末に解散しました。

編成と指導

ホーム・ガードは初期の予算不足から、正式な軍事指導部を持っていませんでしたが、退役軍人や地域の有力者たちが主導的な役割を果たしました。各地域に支隊が設けられ、工場の防衛など特定の任務に当たりました。特に大規模な地域では、より多くの隊員が集まる傾向がありました。

装備と徴兵

設立当初は装備の調達が課題でした。隊員は主に旧式の猟銃や刀剣類、さらには自作の野戦用の武器で武装していましたが、後にはリー・エンフィールド小銃やトンプソン・サブマシンガンも配備されました。特異な装備としては、ホーム・ガード・パイクや76号SIP手榴弾などがあり、さらには独自に改造された臨時装甲車も見られました。

参加者の多様性

隊員には世界に住む外国人も含まれ、アメリカ人の部隊も形成されました。特にロンドンに在住のアメリカ人による第1アメリカ人中隊がその例です。これらの隊員は様々な職業から集まり、業務が終わった後に夜間パトロールを行いました。

異なる組織

イギリスの戦時中にはホーム・ガード以外にも民兵組織が設けられ、たとえば「女性本土防衛隊」や「王立防空監視軍団」がありました。これらはいずれも本土防衛のための重要な役割を持ち続けました。

ホーム・ガードは、多くの志願者によって支えられながら、重要な地域防衛の任務を果たし、戦局に貢献しました。国を守るために集まった市民たちの努力は、戦争の歴史の中でも特に記憶に残るものとなっています。

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