義勇兵

義勇兵について

義勇兵（ぎゆうへい、英: military volunteer）とは、正規軍に属さず、金銭的な報酬を求めることなく、自らの意志で戦闘に参加する者を指します。義勇兵は、一般的に正規の軍隊ではなく、自発的に戦闘行為に従事する民間人や市民から成り立っています。

法的地位と特徴

義勇兵は、ハーグ陸戦条約などの戦時国際法によって一定の条件を満たすことで交戦者としての資格を認められ、捕虜となった際には正規軍と同様の保護を受けることができます。このため、義勇兵は単なる民兵や傭兵とは異なり、法的にも認知されている存在です。しかし、志願兵や政府が関与する補助的な軍事組織としての民兵も、しばしば「義勇兵」として称されることがあります。

義勇兵の参加には、他国の紛争に直接関与できない国が、正規軍を「義勇兵」として派遣する場合もあります。また、義勇兵で構成される軍隊や部隊は一般に「義勇軍」と呼ばれることが多いですが、その名目と実際の活動内容が一致しない場合も多々あります。

義勇兵が多く参加した戦争

ロシア内戦

ロシアでは、伝統的に義勇兵の概念が尊重されてきました。ロシア革命後の1917年に発生したロシア内戦やその他の関連する紛争に、多くの軍人や市民が「義勇兵」として参加しました。特に白軍は、「義勇軍」と名乗る最大の組織であり、赤軍も実質的に義勇軍的な性格を持っていました。ウクライナ人民共和国も独立を目指し、コサックや旧帝国軍人たちが義勇軍を結成しました。

スペイン内戦

1936年から1939年にかけて行われたスペイン内戦では、人民戦線側の「国際旅団」に多くの文化人や知識人が参加しました。アーネスト・ヘミングウェイやジョージ・オーウェルなどがその代表的な例です。アイルランドからも多くの義勇兵が参加しましたが、政府は公式に介入を避けました。

冬戦争

1939年にフィンランドとソビエト連邦の間で勃発した冬戦争でも、フィンランド側に多くの義勇兵が参加しました。特にスウェーデンは、公式に正規軍の派遣を拒否しつつ、多数の義勇兵を送ったことで知られています。

その他の戦争

独ソ戦や、アフガニスタン内戦、さらに最近ではシリア内戦においても、多くの義勇兵が参加しました。特にアフガニスタンでは、20カ国以上から約20万人の志願兵がモジャーヒディーン側に参加したとされています。

名目上の義勇兵

歴史的には、名目上義勇兵とされていた軍隊も存在しました。たとえば、スペイン内戦に派遣されたドイツの「コンドル軍団」や、日中戦争でアメリカが派遣した「フライング・タイガース」などが挙げられます。これらは実態としては正規の軍隊であり、義勇兵という名の元、戦闘に参加しました。

義勇兵の帰還問題

最近のシリア内戦では、多くの外国人義勇兵が戦闘に参加した後、帰国の問題が生じました。帰還者たちが世界各地でテロを引き起こしたため、各国はこれらの帰還者に対して厳しい姿勢を見せるようになりました。

まとめ

義勇兵は歴史的にも社会的にも重要な役割を果たし続けています。しかし、その存在は時に評価が分かれたり、名目と実態の乖離が問題視されることもあります。義勇兵についての理解を深めることは、現代の軍事と国際関係を見つめ直す上でも欠かせないでしょう。

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