ホーリネス弾圧事件

ホーリネス弾圧事件

ホーリネス弾圧事件は、第二次世界大戦中に日本政府からホーリネス系教会が受けた弾圧を指します。この事件は、日本のプロテスタント教会が直面した最大の迫害として記録されています。事件の背景には、当時の社会情勢や宗教観が複雑に絡み合っています。

経緯

事件の兆候は1942年3月26日に顕在化しました。この日、ホーリネス系教会の牧師補である小山宗祐が、獄中で死亡したのです。この出来事は、後に続く弾圧の前触れとなりました。

その数ヵ月後の1942年6月26日、ホーリネス系の教職者96名が一斉に逮捕されました。これが第一次検挙と呼ばれるものであり、その後、1943年4月には第二次検挙も行われました。合計で、124名の教職者が逮捕され、事件は深刻化していきました。教団はこの状況を受けて、「一時的に静観し、皇国民としての自覚を持ちましょう」と発表しました。

興味深いことに、日本基督教団の一部幹部は、政府の弾圧を歓迎しました。特に管谷仁主事や山梨教区長の小野善太郎は、ホーリネス教会の信仰を「手が余るほど異常である」との理由から、政府に感謝の意を表しました。

裁判と殉教

逮捕された134人の中から75人が起訴され、いくつかの教職者は実刑判決を受けました。戦後、この判決は免訴となったものの、少なからぬ信者が獄中で命を落としました。

1943年1月には、当局がホーリネス教会の教義に関する共通定義を示しました。その内容は、神の近い将来の介入やキリストの再臨を謳うもので、国家体制に対する挑戦とも受け取られるものでした。

教団の解散と弁明

1943年4月、文部省は宗教団体法に基づき、教会設立認可の取り消しを通告しました。この措置を受け、日本基督教団はホーリネス系教会に対し、自発的な解散を求める通知を出しました。教団の財務局長は、このような弾圧を「当然の処置」とし、再臨問題を説くことが間違いであったと述べました。

一方、教団の当時のリーダーはホーリネス教会の学問的基準が低いことを弁護しました。

謝罪とその後の影響

1984年、日本基督教団は当時の誤りを認め、関係者とその家族を招いて公式に謝罪しました。この謝罪は、52人の牧師と遺族が出席する形で行われ、弾圧の重い影響を受けた人々に対する配慮が示されました。

この事件は、ホーリネス系教会だけでなく、他のキリスト教団体に対する弾圧とも関連しており、治安維持法違反を理由に起訴された他の教派の事例も報告されています。このような歴史的な背景は、宗教と政治の関係についての深い考察を促すものとなっています。

ホーリネス弾圧事件は、日本のキリスト教史における重要な出来事であり、教会が如何にして困難な時代を乗り越えてきたのかを考える際の貴重な教訓を提供しています。

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